この人の作品に対して、「これはひどい」はそのまま誉め言葉なんだろうなあ。いっそすがすがしいほどに突き抜けてた。普通の小説家はたとえ思いついても実際に書いたりしない。ヘタすれば正気を疑われる。でも荒山徹はためらいなく書く。「フィクションとして面白ければ何やってもいい」という創作姿勢の徹底ぶりは「覚悟のススメ」にも通じるものがあります。「あ、いいんだ。ここまでやっちゃっていいんだ」と。本当にここまでやっちゃって大丈夫なのかどうかよくわかりませんが、まあ小説が面白いので気にしないでおこう。 収録作の「恨流」でひとつ気になったのが、へその緒をたどって武寧王陵の玄室への霊的通路をひらく「胞衣返しの秘術」です。あれって、棺姫がやったのとまったく同じ術を友景もやったわけですね。ということは、「術の間はあさましき姿を晒しますれば」云々というのは、つまり友景も、棺姫と同じそういう状態になってたということにな