小クリと言うと、この春にあの『新寶島』(手塚治虫)を完全復刻して業界をあっと驚かせましたが、この『忍者武芸帳』も、マンガ史的には『新寶島』と同じくらい重要な作品だと言えます。 その昔「貸本マンガ」という、今は絶滅した分野がありました。『忍者武芸帳』は、貸本マンガ史上最大のベストセラーと言われていて、白土三平の名前を一気に有名にした代表作にして出世作であります。この作品の担当編集者で、版元(三洋社)の社長だったのが長井勝一。 長井は後に青林堂を創業し「ガロ」を創刊します。「ガロ」は白土の『カムイ伝』を連載させるために作った雑誌でありまして、これも白土の代表作になりました。これはつまり、『忍者武芸帳』の成功なくしては「ガロ」も『カムイ伝』もなかった、ということであります。 『忍者武芸帳』には『影丸伝』というサブタイトルがつけられていますけれども、これは作者の白土が最初につけたタイトルだとか。し