姫草ユリ子が自殺した。遺書を置いて、自分でモルヒネを注射して死んでしまった。 彼女は、なぜ、死んだのか? その1年と少し前のこと。昭和10年初秋の横浜。港を見下ろす丘の上の臼杵(うすき)病院に、ユリ子はやってきた。看護婦募集の告知を見て。 ユリ子は、看護婦になるために生まれてきたような少女だった。老若男女、分け隔てなく接する天使のような慈愛溢れる態度。その美貌。 しかし、彼女はひとつだけ“問題”を抱えていた。彼女の問題とは……? 夢野久作の傑作オムニバス小説『少女地獄第一話・何でも無い』が、新鋭・佐藤菜生のペンによって現代に蘇る! →【マヴォ】ふかさくえみ『フェルマータライフ 第3話』