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ブックマーク / quesera.hatenadiary.org (9)

  • やたらと腹回りがゆるく感じられ、穿いたパンツがずり落ちてくるのを、あらわたし痩せたのかしらと思いきやベルトをつけ忘れていただけだったと気づいた瞬間の悲しみを何に喩えよう。 - 懐手して天体観測

    最近はなんだか日付の感覚がおかしくなり、月日の流れがやたらに早く感じると思ったら実際には2、3日しかたっていなかったり、そうかと思えばあっという間に一週間ならばともかく一月近くも経っていたりしていてこれは何ぞと驚いたりと、これはあれか、何かの異常か主に精神のと思うもそんなこともないようで、ただたんにぼんやりと生きているだけだからのようだ。 そういえば書店の店頭で蜂飼耳の新刊『秘密のおこない』を見つけて狂喜して買ったのは、京都は百万遍の知恩寺の古市にいった前だったか後だったかも覚えていないのだけど『秘密のおこない』は素晴らしかった。一行目を読んだだけで陶然とする。「日が落ちて訪れた闇に、闇そのものがまだ慣れずにいるような時刻」(「闇の結晶」)とか。ああ、いい。彼女の文章を読んでいると身体の奥深いところをそっと撫でられているような、もうそれは当に身体的な快楽を覚えてしまう。句読点の打ち方一

    やたらと腹回りがゆるく感じられ、穿いたパンツがずり落ちてくるのを、あらわたし痩せたのかしらと思いきやベルトをつけ忘れていただけだったと気づいた瞬間の悲しみを何に喩えよう。 - 懐手して天体観測
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    xx-internet 2008/11/20
    鬼の首が取れてしまったのであらどうしよう的な『日本語が亡びるとき』評。笑った。
  • 嘘のような話 - 懐手して天体観測

    ヒヨコ舎編『棚』の2巻がでていた。帯に「cocco」とみえて、少し驚く。寡聞にしてあの「cocco」がこのにのるほどの好きだということを知らず、でもあの歌詞をつくる感覚というか能力を思えば好きであってもなんの不思議もなく、知らなかったのはこちらの問題でしかないな、と頁を繰ってみる。 「cocco」とといえばどうしても彼女の作る歌詞からの連想で、漠然と、野溝七生子、尾崎翠、森茉莉、矢川澄子、アナイス・ニン、萩尾望都、ヴァージニア・ウルフ、大島弓子、エミリー・ディキンスン、吉野朔実、榛野なな恵、神谷美恵子、シモーヌ・ヴェイユ、須賀敦子、とか、そういう、なんというか、ぎりぎりの感じがただよう作家(つまり私はcoccoをこういった作家とのつながりの中で認識している、というだけの話なのだけど)と親和性の高いような気がして、棚もこの辺の作家達のがならぶのでは、とか、あるいは画集とか環境問

    嘘のような話 - 懐手して天体観測
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    xx-internet 2008/09/09
    なんというナイス小話。
  • 道をまっすぐまっすぐだけ歩きたくて歩いていてもすぐ行き止まり - 懐手して天体観測

    書店をのぞいていると、河出の新刊のところに国枝史郎『神州纐纈城』を見つけ驚嘆する。まさかこれが復刊するとは。唐突といえば唐突なこの復刊に棚の前で思わず「うお!」と小さく叫んでしまう。恥ずかしかった。ここ数年、未知谷とか作品社のおかげで国枝史郎の名前をよく見るようにはなったけれど、まさか河出が文庫化するとは。いや、あれか、思えばここ最近の半村良の復刊はその伏線だったのだろうか。編集さんに伝奇者が入ったのかしらん? それにしても文庫化は大衆文学館以来だろうか。解説は、と見ると三島由紀夫が書いたエッセイが収録されている。この作品を評するにしばしば引用される三島の「事文学に関するかぎり、われわれは1925年よりもずっと低俗な時代に住んでいるのではなかろうか」というあれ。思わず購入する。 思えばこの作品が書かれたのが大正末期。それから約40年後、あの伝説の伝奇ブーム*1を牽引した桃源社によって「再発

    道をまっすぐまっすぐだけ歩きたくて歩いていてもすぐ行き止まり - 懐手して天体観測
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    xx-internet 2007/11/16
    『神州纐纈城』復刊と、それにまつわるあれこれ。
  • 万国の柳生よ団結せよ! あるいは柳生、吠えないのか? - 懐手して天体観測

    友人(id:fuldagap)が非常に素晴らしく阿呆な発想をした上に素晴らしいコメントが付いたので、我も推参せんと文を編む。できたものを友人のブログのコメント欄に書き込もうと思うも、その前に一応と眼を通してもらったところ「それは一般に荒しといわれる行為なのではないだろうか」というような事を遠まわしに言われたので、自分のところに書き込む。トラバはするけど。 かつてイラン北部に「コタナ」という直刀を自在に操る一族がいたという。この一族に関する最古の記録は17世紀、ベネチアの旅行家、マンデン・ポルトの旅行記『東域異聞録』の中に見ることができる。 同書によれば、数は少数ながら「コタナ」と呼ばれる直刀を振りかざし襲い来るその姿はまさにジン(悪霊)そのものであったという。彼らは一人で十人のマムルークを相手にして退くことなく、その首領は片目に黒い眼帯を嵌め、一息に五人の首を落としたという。しかしその教義

    万国の柳生よ団結せよ! あるいは柳生、吠えないのか? - 懐手して天体観測
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    xx-internet 2007/08/05
    中東柳生と、それを研究するミスカトニック大学の碩学について。
  • 2006-06-18

    太田俊穂『城下町盛岡遺聞』(大和書房)というを読む。著者の故郷、盛岡に縁のある人物や在りし日の町の姿を描くその中に、興味深い文章を見つけ思わず小躍りする。 流泉小史という人がいたのだという。何でも岩手の産で長じて上京し福地桜痴、黒岩涙香、多精一に師事し「小説こそ書かなかったが、昭和初頭、きわめてユニークな筆致で、幕末の剣豪伝を次々と発表して、当時の読書界に一種のブームを起し」た人だという。その『剣豪秘話』の中で彼は、山田美妙と「首斬り浅右衛門」こと山田浅右衛門が同じ一族だと書いているのだという。山田美妙といえば硯友社の同人として、また「言文一致体」の先駆者として「日近代文学」の誕生に一役買っている人物。かたや山田浅右衛門といえば旧弊として廃止される明治の初期まで「首斬り」という行為に携わっていた人物。この二人が親戚だったとしたらこれは面白い、と思ったのだが、この話を紹介している太田

    2006-06-18
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    xx-internet 2006/06/19
    宇月原晴明が説く伝奇小説の書き方。
  • 2006-04-07

    過日、友人宅にて花見の宴を催す。ラムは無かったし羊肉もべられなかった。その代わり日酒をかぷかぷと。花見自体は夕方過ぎからだったのだけど、準備を手伝うためお昼に出向く。友人と落ち合い買出しへ。途中、エイプリルフールだという事で、皆で色々と考える。結果、ジョジョ好きな友人へこのようなメールを送る。 「ジョジョの実写化が決定したらしいよ! しかも第3部! キャストは今のところアヴドゥルがボビー・オロゴンだって!」 さすがにこれはすぐに気づくだろうと送信。すぐに返信がくる。 「ええー! 当ですか!! すごいすごい! ボビーか、うーん、それは微妙だけど、他のキャストが気になるところですね!」 どうやら信じているらしい。友人相談しもう一通送る。 「あ、しかも、花京院典明が稲垣吾郎だってよ!」 さすがにこれは信じないだろうと、笑いながら送信。すぐに返信がくる。 「えーっ!えーっ!当ですか!凄い

    2006-04-07
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    xx-internet 2006/04/08
    タイトルとエイプリルフールの嘘が秀逸。
  • 懐手して天体観測 - 類友とお茶をするの事

    先達てしばらく会っていなかった友人とお茶をした。一頻り久闊を叙し、近況を報告したのちお喋りに興じていると、そういえば、と友人が言った。 「秋篠宮家に子供が生まれるらしいね」 先月発表されたのだという。全然知らなかった。これで男の子が生まれたら皇位継承権はどうなるのかと尋ねると「さあ知らん」と言われる。聞くところによると、かなりの高齢なのだという。「そうか、頑張ったんだね。よく知らないけど」というと、友人は「うーん。自然妊娠なのかな」という。 久しぶりだとはいっても、数年前は毎日のように遊んだ中。互いの趣味嗜好は恰も掌を指すが如くに熟知している。そのまま話がころがり続ける。 「ならば人工受精だとでも」 「いや、知らんけど」 「人工授精なら一つ期待したい事がある」 「ほう」 「懐妊が報じられる前に畝傍山一帯を掘り起こしたという話はなかったか」 「いや、ないと思うが。何故」 「いや、きっとあった

    懐手して天体観測 - 類友とお茶をするの事
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    xx-internet 2006/03/11
    これが伝奇だ。
  • 2006-02-21

    四方田犬彦によれば、「あらゆる女の子を『かわいく』変身させてしまう、魔術的な装置」であるプリクラに「大人」としていち早く着目したのは種村季弘だったという。無時間性のうちに切り取られた空間。外部と遮断され、完全な平穏につつまれた密室で理想の美少女と永遠の時をまどろむことの愉楽を、種村は晩年の著書で綴ったという。そして、「生涯を贋者と自動人形を愛することで過ごしたこの稀代の文学者」が、プリクラという装置を「チープ・イミテーションに他ならないことを見抜」き、それだからこそ「いっそうプリクラを支持したの」ではないかと四方田は推測し、この論を敷衍してゆくと、乱歩が『押絵と旅する男』の中で描いた夢想―つまり、閉じた世界で美女と永遠にまどろむこと―がここにおいて実現したのではないかという。そして思うに、箱の中にみっしりと詰まった美少女が溜息をもらすように「ほう」と囁くのも中々よいが、と、ここまではまくら

    2006-02-21
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    xx-internet 2006/02/22
    古川日出男の創作術(妄想)について。何となく分かる。達人は武器を選ばないし、嘘つきも武器を選ばない。だから嘘の達人には武器でないものなどありえない。
  • 「インターネット殺人事件」さんに捧げる。 - 懐手して天体観測

    「インターネット殺人事件」さんの11月25日の日記を見てとても楽しくなる。こういう文章を見ていると頭の中で何かが流れるのがよくわかる。どくどく。前々から凄いサイトだとは思っていたけど、これほどまでに柳生、ひいては隆慶一郎に惚れ込んでいるとは。一人で興奮してしまったので以下の文章を勝手に捧げてみる。昔書いた文章をほぼそのまま置いているので、読みにくい点が多々あるかとは思われるが、読まれる方はご寛容の程を。ちなみに文中の「レ」とか「一」、「ニ」は返り点です。 中国の明代に編纂された兵書『武備志』に不思議な伝書が収録されている。 一読すれば分かるように、この文書は漢字仮名まじりの草書体で書かれていると思われるのだが、それを同書に収録する際、日語を解しない人間が無理に翻刻したようで、殆ど意味が通じない。この不思議な伝書を『影流之目録』と解読し(便宜上、以下この書を『影流之目録』として扱う)、「

    「インターネット殺人事件」さんに捧げる。 - 懐手して天体観測
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    xx-internet 2005/12/24
    捧げていただきました。つまり中華柳生は存在したかもしれないと。
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