漢文をテーマにした本の出版が目立っている。堅く、近寄りがたいイメージの漢文を、親しみやすく工夫した本や、漢文と日本語とのかかわりを探る本まで様々だ。明治大学の加藤徹教授(中国文学)と、その魅力を探った。(清岡央) 加藤教授は最近、『中国古典からの発想』(中央公論新社)や『怪の漢文力』(中公文庫)、『絵でよむ漢文』(朝日出版社)を相次いで刊行した。「団塊世代を中心に、漢文を学び直したいという人が増えています。若者にお説教するにも『論語』の一説で理論武装できます」。中高年サラリーマン層と漢文。実は歴史的になじみがある。 『三国志』や『水滸伝』などが日本に輸入されて普及したのは江戸後期。「当時、漢籍を出世のために一生懸命勉強したのは、下級武士と上層の百姓・町人。彼らは中流実務階級、今で言えば、サラリーマン層でした」と加藤教授。『中国古典からの発想』でも、伊藤博文や福沢諭吉ら、<幕末・明治の傑物の