日本進出と同時に大人気となった、クリスピー・クリーム・ドーナツ(以下、クリスピー)。 開店当初は買い求める客たちが長蛇の列をなし、時には数時間待ちになるほどの騒ぎとなった。しかし、このクリスピー日本進出の背景には、少々興味深いストーリーがあることは、あまり知られていない。それは、ドーナツとはまったく縁のなさそうな「ITベンチャーバブルの崩壊」にも通ずるものがあるのだ。 クリスピーは米国ケンタッキー州が発祥。ある人物が地元で人気のド−ナツ店を買い取ったことからスタートした。1930年代半ばから家族経営で奮闘した後、20年ほどを経てチェーン化。70年代半ばに総合食品加工大手のビアトリスに買収され一大チェーンとなるも、80年代初頭にはそのフランチャイズ加盟店のグループに逆買収されながらも経営は継続した。 転機となったのは21世紀を間近に控えた2000年のこと。当時、米国ではITバブル真っ盛