米野球選手のレフティ・ゴメスが、「優秀な選手ではなく運のいい選手になりたい」と言ったのは有名な話だ。しかし、成功する上で運が果たす役割はいまだに社会で軽視されており、成功は努力と才能のたまものだとする考え方が主流だ。世界中で収入格差が広がる中、このことは盛んに議論されるようになった。 イタリアのカターニア大学が最近発表した論文では、人間の才能が人生を通してどう使われるかをシミュレーションし、成功する上で運が果たす役割の特定を試みている。 チームが実施したシミュレーションでは、現実世界で見られる富の配分を正確に反映することに成功したが、特に興味深かったのは能力の分布だ。最も大きな富を得たのは、最も才能があるとされた人々ではなく、最も運が良いとされた人たちだった。 シミュレーションで使われたモデルでは、人々にそれぞれ一定レベルの才能(スキルや能力、知性などで構成される)が付与された。才能はサン