タイミングはアウトだった。 延長11回2死一、二塁。ソフトバンクの7番・川島慶三の放った打球がライナーで右前に落ちる。前進守備の右翼手・梶谷隆幸が捕球し、真っ直ぐホームで待つ嶺井博希に向かってボールが放たれた。 「タイミング的には余裕でアウトだったので、ホームプレートの後ろでタッチに行く準備をしていた」 だが、腰を落として捕球態勢に入った嶺井の目の前で、ボールがアンツーカーで不規則に大きく弾んだ。必死にミットを差し出したが、その上を飛び越え、ボールがバックネットに転がる間に、二塁走者の中村晃がサヨナラのホームに滑り込んだ。 ソフトバンクの2年ぶりの日本一奪回は、そんなあっけない幕切れだった。 同点ホームランの内川には「余裕があった」。 最後は底力の差の勝利だった。 1点を追う9回1死。負ければ第7戦の最終決戦になだれ込む。そんな土壇場で飛び出した主砲・内川聖一の同点本塁打が象徴だ。 「気持