「自宅のトイレで出産」 「ドラッグストアで出産」 「赤ちゃんの遺体を遺棄した疑いで逮捕」 私はアナウンサーで、こうしたニュースをしばしば読んできた。2分に満たない原稿を読む中、いつも感じてきたことがある。大変な出産を、誰にも頼らずにしてしまうのはなぜなのだろう。背景を自分で確かめようと取材した。(アナウンス室 池田耕一郎) 取材に応じてくれたのは東京・豊島区にあるNPO法人ピッコラーレ。助産師、看護師、保健師、社会福祉士で構成されていて、妊娠によって孤立することなく幸せに生きることができる社会を目指して活動を行っている。 団体では電話やメールで、妊娠に関わる相談を年中無休で受けている。寄せられる相談は1か月で延べ700件。毎日、20件以上の相談が来ている計算だ。 取材にうかがったこの日、男子中学生から相談の電話がかかっていた。優しい声で寄り添うように答えていたのは助産師の中島かおりさんだ。