宮崎県で拡大する口蹄(こうてい)疫問題で、特別措置法が4日、施行される。法律では殺処分した家畜全頭を損失補償するとしているが、詳細が明らかにされておらず、畜産農家からは不安の声が高まっている。廃業を決めた農家も多く、口蹄疫に翻弄(ほんろう)され続ける宮崎県の畜産業は危機に瀕(ひん)している。 「これからというときだったのに…。法律が施行されたら、また一からやり直しだ」。宮崎市で昨年4月に設立したばかりの農業法人「宮崎ウイルファーム」の管理者、加藤房生さん(43)は話した。 加藤さんは、働いていた派遣会社が畜産業に参入したのに伴い、農場の管理を任された。畜産経験はほとんどなかったが、ベテランの畜産家を従業員に加え、頭数を増やし、牛170頭を飼育するまで成長した。 殺処分が義務づけられる発生地から10キロ圏内に入ることが知らされたのは5月31日。「県から移動を制限するようにいわれただけ。今後ど