図書の電子化がすすむ現在、公共図書館の現場でも大きな変化がみられる。資料の電子化をすすめるグループはこれまでの紙媒体が図書館書庫のスペースを大きくとることから、国立国会図書館にあればよしとして、各館での資料保存を無益と考える意見が巾をきかせている。これは国立国会図書館や府県立などの大図書館では資料の保存機能が使命の一つとして位置づけられているが、中小の公共図書館では書庫スペースの効率化を図るうえからも、資料の廃棄が急激なスピードですすめられているのである。書庫の廃棄というのは一般市民にはあまり表面にあらわれないだけに問題として顕在化するケースは少ない。「うちの図書館には保存的機能はない」と公言してはばからない館長もいる。だが図書館法第2条には「保存」という二語がはっきりと明文化されている。もちろん電子化の恩恵を受けるのは、地域の小さな図書館でも端末で過去の貴重な資料を閲覧できることにあり、