先日来、明の時代の貴族が『源氏物語』を読んだ云々というツイートが話題になりました(残念ながら、その元のツイートは削除されてしまいました)。 『源氏物語』が大陸に輸出され、それを明人が読んだとは到底考えられないのですが、そもそも前近代の中国人が読んだ最初の「和文」の典籍って何なんでしょうね。 日本人の著作が海を渡り、大陸で受容されたという例は確かにあって、このあたりは王勇氏や田島公氏等の得意とする分野かと思うのですが、私も少し関心があって折に触れて調べていることです。その最も古く、かつ、最も有名な例は、聖徳太子撰(太子の作ではないという説もある)『勝鬘経義疏』が唐土にもたらされ、法雲寺の明空という僧がその末注『勝鬘経疏義私鈔』を作った(『大日本仏教全書』所収。https://books.google.co.jp/books?id=5A7e1Tw-IAIC&hl=ja&pg=PA379#v=o