ロシアによるウクライナ侵攻で、露軍の戦死者の大半を少数民族や地方出身者が占め、首都モスクワなど大都市圏の出身者はごくわずかである実態が露独立系メディアの調査などから浮かび上がってきた。身近に戦死者が出ない大都市部の住民や最大民族であるスラブ系ロシア人にとって戦場が心理的に遠く、これが露国内で反戦機運が高まらない一つの要因になっているともみられる。 「ロシア人(民族)の平和のために、非ロシア人が死んでいる」。旧ソ連を構成していた当時のアゼルバイジャンで生まれ、現在はモスクワに住む元公務員の50代の男性はこう話す。 ロシアは190ともされる民族を抱える世界有数の多民族国家。男性がいう「ロシア人」は東スラブ系白人のロシア民族を指し、人口の8割近くを占める。ロシア正教を信仰する人が主流だ。「非ロシア人」とはそれ以外の少数民族で、特にスラブ系白人でない民族や異教徒が念頭にある。