NHKニュースが、米国臨床腫瘍学会では免疫療法が中心的話題だと新しい流れを大々的に報道する一方で、クローズアップ現代では、免疫療法の大半をエビデンスがないと否定するような報道をした。クローズアップ現代冒頭で「詐欺師まがいの遺伝子治療」の例を紹介したが、免疫療法とは全く無関係の話なのだ。しかし、後段の部分とつなげると、明らかな「免疫療法の大半は悪だ」という印象を与えるような番組の構成だ。画面の背景として樹状細胞ワクチンが大きな文字で示されてされていたが、これは強烈な印象操作である。 多くの人たちは、「エビデンスのない治療法」という言葉を使って、新しいことをすべて否定する傾向にある。特に、国の中心にいる人たちにこの傾向が強い。国内外の製薬企業の下請けをすることが世界と競っていることだと誤解しているから、日本のがん医療が遅れてきた現実を直視して欲しいものだ。 歴史を振り帰ってみよう。国立がん研究
1ヶ月少し前のJAMA Oncology誌に「Fiber Intake and Survival After Colorectal Cancer Diagnosis」というタイトルの論文が発表された。ステージ1-3期の1575名の大腸がん患者を追跡調査し、食物繊維摂取量と大腸がんによる死亡率やすべての要因での死亡率(全死亡率)を比較した結果だ。 1575名の患者さんのうち、女性比率が963名(61.1%)と高いのは、健康医療産業従事者(看護師さんを含む)が対象となっているからであろう。おおよそ8年間の追跡調査の結果、773名が死亡しているが、大腸がん関連死は174名である。大腸がんと関係のない死亡原因が多いのは、対象患者の年齢中央値が68.6歳と少し高いからであると思われる。 この論文によると、食物繊維が1日5グラム増えるごとに、大腸がんによる死亡リスクが、0.78倍(95%信頼区間は0.
「コードブルー」という番組を見た。ネットに泣かせる話と書いてあったが、子供の心臓移植を待っている医師家族の姿は、確かに胸にジーンときた。しかし、私はこの番組の中に隠された意図を感じた。単なる救急ヘリの物語ではなく、今の医療の抱えている課題に刃を向られているような気がした。 (1) 番組の中で、「いつから医者は大丈夫と言えなくなったのか?」「医師の笑顔が、手術や薬よりも患者さんを救うこともある」(正確な表現ではないかもしれないが)と語る部分があった。私が臨床医をしている頃、末期がん患者さんに対して「大丈夫ですよ。もう少ししたら元気になりますから」と笑顔で語りかける場面が少なくなかった。しばらくして、患者さんから、笑顔で励ましを受けたことを感謝するお手紙を頂いたが、今でも、それを大切に保管している。 がんとは告知しない時代であったが、進行して一定の段階に達すると隠せるはずもない。しかし、阿吽の
シカゴの天候の変化は恐ろしい。昨日の最高気温は35度近かったが、今日は16度。自転車で帰宅したが、肌寒い上に、突然、雨が降り出して、びしょ濡れになった。しかし、1週間で3回も虹を見たので、何か、いいことがあればと期待したい。 研究生の一人が、甲状腺がんと乳がん併発症例の遺伝的素因を研究していることから、外科教室で主催された「甲状腺がんの流行」という講演に興味をひかれ、拝聴しに行った。「米国では、1975年と比較して、甲状腺の頻度が3倍になっている。何が、原因か?」から話が始まった。がんの頻度は増えているが、死亡数は増えていない。州別に比較すると、一定の地域では甲状腺がんの頻度が高い。これらの地域には内分泌外科医が多い。 ここまで来ると、スクリーニングの差だと誰でも話の流れが予測できる。そして、仰天するようなデータが示された。韓国では、過去20年に甲状腺がんが15倍になっている。しかし、死亡
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く