(撮影・土橋詩歩) 「生きるために逃げよ」と語った田中慎弥氏は、先月『孤独論』を上梓したばかりだ。 ひきこもり歴15年と豊富なひきこもり経験を持ち、一度も就労せずに33歳で小説家になった経歴を持つ。 孤独を真っ向から肯定する彼は、一体どんな人物なのか。ひきこもりについて何を考え思うのかを聞いた。 田中慎弥氏 インタビュー 『孤独になるのは“悪”ではない』 田中慎弥さんのひきこもり体験をお聞かせ下さい 田中:直接的なきっかけで言うと大学受験失敗です。高校は山口県の公立の工業高校にどうにかこうにか三年行って、地方の小さい大学を受験しましたが、失敗しました。絶対大学に行きたかったとか文学がやりたかった訳ではないので、ショックは受けなかったです。 ただ、それまでの学校のような、どこか朝出かける行き場所が無くなったので、家に居るようになりました。 もうちょっと、そこで考えれば良かったのかも知れないけ