いよいよペペロンチーノを作る。多くのペペロンチーノのレシピでは、「まずフライパンに油とニンニクを入れ、弱火でじっくり熱することで、油にニンニクの香りを移す」と書かれている。私自身もこれまでずっと弱火でニンニクを炒めており、油の中で泡を発しながらゆっくりキツネ色に変わるニンニクを見て、「ああ、ニンニクの匂いが少しずつ油へ移っているんだなぁ」と思い込んでいた。 ニンニクを炒めたあとの油を飲んでみた ところが、実際にニンニクを炒めたあとの油を飲んで味わってみると、ニンニクの香りはあまりしないのだ。 ニンニクの独特の香りの元である、ジアリルジスルフィドをはじめとした有機硫黄化合物は脂溶性である。油に溶けるからこそ、ニンニクの香りを油に移すことができる。しかし、一方で有機硫黄化合物は、180度ぐらいまでの温度上昇でその多くが揮発していく。せっかく香りを移しても、加熱中に揮発してしまうのである。それが