一つめの背景は、作曲者による改訂である。ブルックナーは作品を完成させてからもさまざまな理由から手を入れることが多かった。ここには、小規模な加筆もあれば、大掛かりな変更もある。改訂時期も、多岐にわたっているが、大規模な改訂は時期が集中しているとの見方もある。例えばレオポルト・ノヴァークは「第1次改訂の波」「第2次改訂の波」という言葉で、この見解を説明している。 改訂理由としては、弟子の助言、初演拒否などの外的な理由もあるが、それだけではなく、基本的にはブルックナー自身の音楽的な欲求、作曲家としての性格が反映されたものであると考えられている。