『残酷な世界~』は、幸いなことに、多くの方に読んでいただけているようです(ありがとうございます)。 作品の評価はもちろん読者の自由なのですが、レビューを見ていると、「遺伝子決定論」という表現が目についてちょっと気になりました。たしかに「遺伝的なちがいが人生に大きな影響を与える」と書きましたが、これは遺伝子決定論ではありません。細かなことのようですが、大事な点なので、ちょっと説明しておきたいと思います。 それによって、本書が遺伝的な影響を強調しすぎているのではないかという勝間和代さんの疑問にもお答えできると思います。 遺伝と環境が(能力を含む)人格形成に与える影響については、大きく以下の3つの考え方があります。 人格は遺伝で決まり、環境は関係ない(遺伝子決定論) ひとは「空白の石版=ダブラ・ラーサ」として生まれてくるのであり、人格の形成に遺伝は関係なく、すべては社会的な環境で決まる(環境決定