直径100分の1ナノ・メートル(ナノは10億分の1)という極微の穴を持つ金属化合物を作り、二酸化炭素と酸素など気体の分子を“ふるい”にかけて種類別に分けることに、京都大工学研究科の北川進教授、九州大先導物質化学研究所の松田亮太郎助手らが成功した。環境汚染物質や温室効果ガスの除去などに活用が期待できるという。29日付の英科学誌ネイチャー・マテリアルズ電子版に掲載された。 北川教授らは、ニッケルイオンに有機物を混ぜた「金属錯体」という化合物で、サイズの違う2種類の格子状の穴を持つ物質を合成し、二つの格子を重ねるようにして、100分の1ナノ・メートル単位の穴を作った。 二酸化炭素と酸素などの混合ガスを通すと、二酸化炭素だけが吸着し、分離を確認できた。格子のすき間に入るイオンを代えることで穴の大きさを調節でき、分離するガスの種類を変えられるという。