経歴不詳の怪人物が国際柔道連盟(IJF)を牛耳る体制がまもなく完成する。10月21日にバンコクで開かれるIJF臨時総会で新規約が採択され、マリアス・ビゼール会長が理事の過半数を指名できるようになる見通しだ。かねてからIJFの運営をめぐっては、上部団体の国際オリンピック委員会(IOC)がその不透明さを指摘してきたが、ビゼールは独裁体制を規約に盛り込む奇策で正面突破を図った。 そもそもIOC自体がいかがわしい組織だが、その上を行くビゼールとは何者か。ルーマニア生まれで、現在はオーストリア国籍。チャウシェスク政権下の軍隊で柔道と出会ったといわれている。東欧諸国でのカジノ経営で財をなしたが、その過程で相当な無理を重ねたようだ。 インターネットで彼の名前を検索すれば、贈賄から暴力事件に至るまで、禍々しい噂がいくらでも出てくる。財力にものをいわせて02年に欧州柔道連盟の会長に就き、名誉会長にロシアのプ