毎日新聞のセミナーで講演するために、 北九州市の小倉へ。 小倉は私の母の生まれた土地である。 母が子どもの頃話して くれたことの一端を紹介した。 紙芝居のおじさんがやってきて、 まずは水飴を買うのだという。 割り箸の先の水飴を、もう一本の 割り箸をつかってくるくると回す。 最初は透明だった水飴が、次第に 白濁していくる。 一番最初に白くなった子どもが、 もう一本水飴をもらえるというので、 子どもたちは必死になって割り箸を くるくる回す。 白くなったと思ったら、「おじさん、 見て見て!」と叫ぶ。 そんな話を、子どもの時によく聞いた。 紙芝居は、水飴を買わないと見ることが できない。 お小遣いがないので水飴を 買えない子どももいる。 おじさんとしては商売だから、水飴を 買わずに紙芝居を見ている子どもがいると、 「だめだよ、あっち行って」という。 それでも、その子どもが電信柱の陰から 紙芝居を見