最近、いろいろなところで「自分は文系の数学は学びましたが、AI時代を視野に置いて、機械学習の基礎となる数学を学ぶことは可能でしょうか」という質問を見聞きする。一般の回答としては、すでに学んだ数学の内容を詳しく尋ねるようなものが多いが、筆者ならば「『すべて』と『ある』の用法、とくにそれらの否定文をよく理解していることが大切ですよ」という回答をするだろう。 本稿では、それに関しては主に後半で説明するが、とりあえず「すべて(all)」と「ある(some)」の用法が、算数・数学教育全般に深く関わっていることを述べよう。これに関しては拙著『AI時代に生きる数学力の鍛え方』(東洋経済新報社)で詳しく書いてあるので、参考にしていただければ幸いである。 あまり注意が払われない「すべて」と「ある」 最初に留意していただきたいことは、英語圏の子どもたちならば生まれながらにして「all」と「some」の使い方を