ムーミン谷の秘密 トーベ・ヤンソン書くところの「ムーミン」シリーズは何度もアニメ化され、広く知られているが、原作を読んだ人はシリーズに共通する、なにかもの悲しい雰囲気を感じるだろう。北欧の陰鬱な天候のせいだけではない、ある後ろ暗さがそこには読みとれるのである。 まずムーミン一家に起きたできごとを、一家の家族構成の変化に注目しながら、たどっていこう。 未読の初作「小さなトロールと大洪水」で、ムーミン一家は洪水に襲われ、それまで住んでいた土地を追われてムーミン谷に移住する。梗概でしか接したことがないので、ここでは一家の成員は不明である。 つぎの「ムーミン谷の彗星」では、ムーミン谷に移住したムーミン家に住むのは、ムーミンパパ、ムーミンママ、ムーミントロール、スニフ、スナフキンである。 一家は原住民であるじゃこうねずみ、ヘムルと出会い、彗星の接近におびえる。 特筆すべきことは、ここではじめて、原住