ノア・スミスの記事にひとことコメント。基本的に意見の相違はあまりないと思うが、リフレの肯定的な面にもふれておこう。 経済学者には常識だが世間の人があまり知らない話として、労働者はインフレで貧しくなるという事実がある。藤井聡氏などは「デフレで所得が減る」と錯覚しているが、これは逆だ。給料が同じならデフレで実質賃金は上がるのだ。逆にインフレになると実質賃金は下がるが、これによって企業収益は上がる。 要するにインフレによって労働者から企業への所得移転が起こるのだ。名目賃金を下げる労使交渉はきわめて困難だが、「インフレ税」がかかれば労働者の知らないうちに賃下げを実現できる。これが自然失業率の理論で明らかにされたインフレの最大のメリットである。 これは新興国との競争で日本の製造業が苦しんでいることを考えると、かなり重要だ。中国の単位労働コストは日本の半分といわれるので、インフレと円安で日本の実質賃金
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