金融危機の原因についてはいろいろな見方があるようだが、サブプライム・ローンを基にしたハイリスクで複雑な金融商品が大量に売られ、それに対して不当に高い格付けがされていた、というのがよく見かける説明だ。これはいわゆる「情報の非対称性」に起因する「市場の失敗」だと言えるだろう。 このために、行き過ぎた自由市場主義に対する反省が世界的に起きたわけだが、この「反省」は、日本に対してはむしろ悪いほうに作用してしまった。日本はもともと市場に対する規制が強く、「自由市場」はむしろ不足している。もっと自由化すべき未熟な段階にあるのに、金融危機を引き起こした「市場の失敗」がクローズアップされすぎた結果、むしろ誤った規制強化やバラマキといった「政府の失敗」を加速している。日本はアメリカと「症状」が異なるのに、同じ「処方」がされてしまい、「病状」がよけい悪化したようなものだ。 日本の重大な問題の多くは、「市場の失