ブックマーク / www.sci.kyoto-u.ac.jp (2)

  • 「科学的」であることは万能ではない

    天野 彩 昨秋、子宮頸がんワクチンを接種した思春期の女の子に重篤な副作用が出やすいという指摘に「科学的な根拠がない」と反論して一躍話題を集めた、医師免許を持つジャーナリスト村中璃子さんの講演を聞きに行った。彼女は接種の副作用とされる症状は元々その年代の少女によく見られるとしてワクチンの接種停止決定を批判した。科学的なデータに基づかない主張には逐一反論してくださいと聴衆の医師らに呼びかけ、講演を終えた。 主張には筋が通っていたが、「科学的に正しい」ことを重視しすぎると、科学の範疇ではない問題を軽視することになりかねないと不安になった。「科学的な根拠がない」とは「今の科学には結論を出すことができない」という意味であり、「正しい」か「正しくない」かを科学には判断することはできず、その材料を与えるに過ぎない。科学的な根拠のない主張を認めないことは、絶対的ではないはずの暫定的な科学の見方を絶対視する

    「科学的」であることは万能ではない
  • 魔法と科学技術の違い

    小長谷 達郎 縄文時代の人がやってきたら、現代人はみんな魔法使いだと思うかもしれない。たしかに、私たちは飛行機を使って空も飛べてしまう。ガスコンロは火を噴くし、蛇口をひねれば水が出る。ところが、飛行機もガスコンロも魔法ではなく、科学技術の結晶にすぎない。魔法と科学技術の違いは一体何なのだろうか? 魔法使いという言葉があるように、魔法とは特別な人だけが使える技だ。ほうきで空を飛び回り、火や水や電気を自由に操れたらさぞ便利だろうが、我々が使いたいと願ったところで、魔力を得ることは不可能だ。 科学技術の最大の特徴は、原則的に誰でも手順さえ守れば同じものを作ったり使えたりすることにある。もちろん、飛行機を作ったり操縦したりするには、膨大な勉強と訓練、ときには身体的な適性が求められるものの、多くの人がそれを達成できる可能性を秘めているだろう。魔法使いのように特別な血筋である必要は決してないのだ。

    魔法と科学技術の違い
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