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  • 鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信

    鳥山明は、縦の間白(コマとコマの間)より横の間白を広くとり読みやすくする工夫など、先鋭的な作品ではむしろダサく見えてしまう表現上の更新もしている。が、それが典型的に示すように、新しい革新的な表現に注目しがちな批評言説からは注目されにくい作風である。けれど、彼は間違いなくジャンプ最盛期の牽引役で、その後のジャンプ路線のシンボルだった。のちにジャンプを支える『NARUTO』の岸斉史、『ワンピース』の尾田栄一郎ら、多くのジャンプ作家に影響を与えた。いわば読者を育て、そこから作家を生み出したのである。いいかえると、彼はジャンプの基準、範例のようにも見なされ、結果「明朝体」のように感じられるようになったのかもしれない。 鳥山明はとてつもない作業量をこなし、しかも締め切りを守った。その理由が、会社員を経験したので、〈原稿が遅れるといろんな人に迷惑がかかる〉*1と思ったからだという。ただ、絵を描くのが

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  • 嶺岸信明インタビュー(後編):『天牌』黒沢の帽子にはあの漫画家のイメージがあった!? | マンバ通信

    前編はこちら なお、あまりに長期連載である『天牌』については展開のネタバレが幾つかありますので、その点のみご注意ください。 狩撫麻礼氏と『オールド・ボーイ』 ——『麻雀時代』とかは雑誌が潰れて、『てっぺん』『幻に賭けろ』と90年代前半まではずっと麻雀が多かったですよね。同時に、日文芸社の方でも『はぐれT.C.』とか『さわがせ屋』とか色々やられてますね。 嶺岸 『さわがせ屋』とか久々に名前聞きましたね。やってましたね。 ——ちょっと今のイメージとは違うコメディっぽい感じだったりして。 嶺岸 あれは『別冊ゴラク』ですね。そもそも青柳先生のところにいた時に編集者の方がよく来てたんです。日文芸社でも小学館の『ビッグゴールド』みたいなやつ……。 ——『カスタムコミック』(注23:79〜82年。『ビッグゴールド』(78〜85、92〜99年)とともに、大御所作家を揃えた豪華執筆陣の雑誌)ですかね。

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  • 倉科遼+みね武『艶恋師』で「きぬた」が生み出すグルーヴ感 | マンバ通信

    今回紹介するのは、前回の『新やる気まんまん 警視庁SEX捜査官』の記事でも名前を少し出した、倉科遼+みね武『艶恋師(いろこいし)』です。連載は00年代後半の『漫画サンデー』。原作の倉科は『夜王』などの作品で知られる「ネオン漫画の帝王」、作画のみねは70年代から青年漫画で活躍しており、金と女が大好きで「糞蝿」と自認する(世の中の糞野郎どもにタカって生きているので)私立探偵を主人公としたバイオレンス・アクション『野獣警察』などで知られます(基的に作画専門の人なのであまり作家性とかが語られませんが)。 【極!合シリーズ】艶恋師シリーズ 作の主人公・神楽坂菊之介は、ポニーテールに着流し姿で花街・神楽坂を闊歩する男。芸者の私生児として産み落とされた後に母親が死亡し、この街の芸者たちの手で育てられたという生い立ちを持っています。 『艶恋師』シリーズ合版1巻16ページより で、この菊之介の表の顔

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  • 「ラーメン…湯切り…命!!」ラーメン漫画を描かせても超一流のハッタリが炸裂する能條純一『ばりごく麺』 | マンバ通信

    以前に『翔丸』の記事で、能條純一という漫画家は漫画界でも比類ない超一流のハッタリ力を持っている人だと書きました。そのハッタリ力は、『翔丸』のようなスケールの大きい作品だけでなく、料理漫画でも存分に発揮されています。というわけで今回の紹介は能條純一『ばりごく麺』。連載は08〜09年の『ビジネスジャンプ』。単行は全4巻です。 『ばりごく麺』 作の主人公は、うだつの上がらない新人サラリーマン・潮崎朗馬。彼がある雨の日、雨宿りのために今まで入ったことのないラーメン屋に入ったところから物語は始まります。あまり流行っていないその店にいた先客は、ラーメンべ終わると「まずかった———っ」と一言。そして「まずいが…最後の一滴まで変わらぬまずさが痛快だ 名付けて痛快ラーメン」と勝手な名付けをして去っていきます。 『ばりごく麺』1巻12〜13ページより これですよ、これこそが能條作品のカリスマキャラです

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  • 齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【猫編】その名はランボー | マンバ通信

    「老人の生態漫画を描いている!」「生態というか…かなり死んでいく!」「これは新しい!いや、古い!いや、かえって新しい!」…などなど、とにもかくにも令和の時代を衝撃で揺さぶる77歳漫画家、齋藤なずな先生なんであります。謎が多い。なぜ40歳デビューなのか。なぜ77歳で活筆なのか。なぜこんなに面白い漫画を作れるのか。取材班は、甘いケーキときれいなお花を手に、雨降る中をバスで突っ切って停留所を降り、東京の奥深い土地にある団地=ご自宅を急襲。にゃー、にゃー、にゃー、ニャンコが女主人をガードする中をなんとかかいくぐって、生の声をインタビューしたのであった。「顔編」「編」「幼少期編」の3回に分けてお送りします。(顔編はこちら) 取材/文/撮影:すけたけしん 愛のひとり、ポンちゃんとあいさつする齋藤さん。 は7階から落ちても大丈夫 ──77歳のなずな先生とお話ししているうちに、歳なんて、何歳でもいい

    齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【猫編】その名はランボー | マンバ通信
  • 齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【幼少期編】神様にお願いした夢 | マンバ通信

    「老人の生態漫画を描いている!」「生態というか…かなり死んでいく!」「これは新しい!いや、古い!いや、かえって新しい!」…などなど、とにもかくにも令和の時代の最先端、77歳漫画家、齋藤なずな先生なんであります。謎が多い。なぜ40歳デビューなのか。なぜ77歳で活筆なのか。なぜこんなに面白い漫画を作れるのか。取材班は、甘いケーキときれいなお花を手に、雨降る中をバスで突っ切って停留所を降り、東京の奥深い土地にある団地=ご自宅を急襲。にゃー、にゃー、にゃー、ニャンコが女主人をガードする中をなんとかかいくぐって、生の声をインタビューしたのであった。「顔編」「編」「幼少期編」の3回に分けてお送りします。(顔編はこちら)(編はこちら) 取材/文/撮影:すけたけしん 着ている服がたまたま似ている。 色々と(命が)流れてくるのですよ ──先生は、空を見る時間と水を見る時間がどちらが多いですか。 それは何

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  • 青山広美インタビュー 後編 麻雀漫画史に残る大傑作『バード』、驚きの創作秘話! | マンバ通信

    前編はこちら 【『バード』創作秘話と『格闘太陽伝ガチ』】 ——『ダイヤモンド』が終わってから、麻雀漫画史に残る大傑作『バード-砂漠の勝負師-』ですが、企画が始まったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。 『バード-砂漠の勝負師-』 青山 『ダイヤモンド』の終わりぐらいに「こういうの描きたい」と思って、簡単な企画書みたいなの書いたら、割とすぐに「やりましょう」と。 ——作最大のネタである「全自動卓天和」をやろうとなったきっかけなどはあるんでしょうか。 青山 これは流れですね。『バード』始まった時は、別に全自動卓天和ってのは考えてなかったんです。 ——ええーーーーっ!! そうなんですか!? 青山 考えてなかったです。描いてるうちに途中のセリフでポロっと「全自動卓で天和どうのこうの」みたいなのが出てきちゃったんで、これはもう天和やらなきゃいけないなと。6話目ぐらいになってから天和のネタ考え

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  • 漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 後編 | マンバ通信

    『人間兇器』の紹介、後編です(前編はこちら)。 アメリカに続きメキシコにもいられなくなった美影、腐敗した独裁国家ならなんとかなるやろ……と思って今度はバティスタ政権下のキューバに密入国するも、折悪しくカストロ&ゲバラによる革命闘争が始まり、さくっと革命軍に捕まります。共産思想とかにはこれっぽっちも興味がないが我が身は可愛い美影、同じ檻に入れられていた奴らが看守を買収して脱走を図っていることを密告し、速攻で革命軍のイヌに。 『人間兇器』合版3巻27ページより 密告が原因で処刑された人々を見ながら「これで間接的にもおれは大量の人間を殺した! おれって人間兇器に青春革命が起こるって予感がますますしてくるぜ!」などと謎の寝言(青春革命?)をのたまいつつ、革命軍のカラテ教師の座に収まりますが、女相手にいつもの残虐行為やってたのがゲバラの逆鱗に触れ50ページもしないうちにワアーッ。 『人間兇器』合

    漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 後編 | マンバ通信
  • 漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 前編 | マンバ通信

    漫画に限らずフィクションというものには、悪玉を主人公にした作品というものが少なからず存在します。そういった作品では、主人公に悲しき過去があったり、悪ならではの美学が存在したりして、悪とはいえ読者が応援したくなったり憧れたりするような何かが存在するのがセオリーでありましょう。ですが、今回紹介する梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』の主人公・美影義人は一味違います。この男、当にいいところが何一つないんです。彼を象徴するコマを一つ引用しましょう。 『人間兇器』合版1巻767ページより 「おれは勝てそうな相手にゃすぐトサカにくるんだ!」ですよ。こんな情けないことを堂々と言える主人公はそうそういません。そして言葉だけではなく実際に、自分より弱い相手には暴虐の限りを尽くします。では自分より強い相手に対してはどう出るか。 『人間兇器』合版1巻682ページより ご覧の通り、すぐ土下座し、泣きわめき、命乞い

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  • ままならない人たちの高校生活だって時には何よりも輝く—heisoku『春あかね高校定時制夜間部』 | マンバ通信

    この連載コラム、今まで読んできてくれた方々には言わずもがなですが、紹介する漫画について特定のジャンルとかテーマとかは基的にないです(ついでに言うと、打ち合わせとかも一切なく、締切日になると「今回これで書きました」と原稿が編集メールアドレスに投げ込まれるという恐怖新聞方式で作られています)。ですがまあ、「他の人が紹介しなさそうなものをなるべくやろう」という鳥なき里の蝙蝠を目指す気持ちはあるものでして、特に新作で「これは他の人と紹介被ったりしそうだな……」と思うとつい避けてしまったりするのですが、それで「あっやっぱ紹介しとけばよかった。タイミング逃したわ」と後悔してしまうこともあるわけですね。というわけで今回の紹介は、単行が出たばかりのheisoku『春あかね高校定時制夜間部』です。いや、この人の前作『ご飯は私を裏切らない』、バンバン紹介されて続刊もバンバン出るんだろうと思ってたんで紹介し

    ままならない人たちの高校生活だって時には何よりも輝く—heisoku『春あかね高校定時制夜間部』 | マンバ通信
  • 『イブニング』の面白い2世漫画は『K2』だけじゃない——寺沢大介『ミスター味っ子II』 | マンバ通信

    『ミスター味っ子II』 コラムを読んでいるような漫画好きならご存知の人も多いと思いますが、先日、『イブニング』休刊により『コミックDAYS』へと移籍する連載作が無料公開される出来事がありました。これにより、高レベルで安定した面白さを持つことが知られて大きくハネたのが、90年代『少年マガジン』で長期連載された『スーパードクターK』の「2世もの」な続編である、真船一雄『K2』であることも言わずもがなでしょう(ギュッ)。ですが、『イブニング』で連載された2世もので面白い作品というのは『K2』のみではありません。というわけで今回の紹介は、やはり往年の『マガジン』連載作の2世もの、寺沢大介『ミスター味っ子II』です。 連載期間は03〜12年なのですが、作者がこの時期に同じ『イブニング』でミステリの傑作『喰いタン』を同時連載していた関係で、06年から09年には不定期掲載・一時中断の期間があり、10

    『イブニング』の面白い2世漫画は『K2』だけじゃない——寺沢大介『ミスター味っ子II』 | マンバ通信
  • 70年代アメフトブームの中で生まれた丁寧な正統派スポーツ漫画。の、はずが——小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』の恐るべき路線変更っぷり |

    70年代アメフトブームの中で生まれた丁寧な正統派スポーツ漫画。の、はずが——小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』の恐るべき路線変更っぷり 『5ヤーダー』 アメフトというスポーツがあります。アメリカでは大人気のスポーツですが、日ではそこまででもない。しかしそんな中でも『アイシールド21』というヒット漫画が存在した……ということはご存じの方も多いことでしょう。では、『アイシールド21』以前にアメフト漫画というものはなかったのか?といえばもちろんそんな事はありません。今回紹介する小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』もそのうちの一つ。連載は77〜79年の『月刊少年チャンピオン』、単行は全8巻です。 先に、ちょっと時代背景を説明しておきましょう。実は70年代の日では、ちょっとしたアメフトブームが起きていて、子供文化にかなり影響を与えていたのです。74年にはフィンガー5が「恋のアメリカン・フットボール」とい

    70年代アメフトブームの中で生まれた丁寧な正統派スポーツ漫画。の、はずが——小堀洋+守谷哲巳『5ヤーダー』の恐るべき路線変更っぷり |
  • 「オリはよう、オリは誰なんだよう!」—ジョージ秋山『くどき屋ジョー』を読んで、漫画史に残るダークヒーロー・毒薬先生の魂の叫びを聞け! |

    「オリはよう、オリは誰なんだよう!」—ジョージ秋山『くどき屋ジョー』を読んで、漫画史に残るダークヒーロー・毒薬先生の魂の叫びを聞け! 『くどき屋ジョー』 2020年に亡くなった日漫画界の鬼才・ジョージ秋山。彼が長く『浮浪雲』を連載していた『ビッグコミックオリジナル』では、同年7月に追悼の特集を行い、その中でちばてつや、永井豪、宮ひろ志……といった様々な豪華漫画家が追悼イラストを描いていました。描かれたイラストの内訳としては、やはり掲載誌だけに雲の旦那をはじめとした『浮浪雲』のキャラが一番多く、次いで多かったのは『銭ゲバ』『アシュラ』、さらに『パットマンX』『ザ・ムーン』『ほらふきドンドン』『デロリンマン』といった少年誌掲載作でのキャラが続いていたのですが、その中でひとり異彩を放っていたのは福伸行。彼が描いたのは、秋山の青年誌作品にスターシステムで多く登場したキャラ・毒薬仁(作品によっ

    「オリはよう、オリは誰なんだよう!」—ジョージ秋山『くどき屋ジョー』を読んで、漫画史に残るダークヒーロー・毒薬先生の魂の叫びを聞け! |
  • 出版物はどんな自由に作ってもいいんだ(よくない)—コレクター泣かせな地獄からの使者・オハヨー出版のデタラメ単行本たち(志村裕次・原麻紀夫+鳴

    出版物はどんな自由に作ってもいいんだ(よくない)—コレクター泣かせな地獄からの使者・オハヨー出版のデタラメ単行たち(志村裕次・原麻紀夫+鳴島生『雀鬼地獄の対決!』他) 『フランケンシュタインの男』および日野日出志作品の記事で、ひばり書房という会社は「同じを表紙とタイトル変えて別のに見せかけて販売をしたりしていた」「奥付の日付が適当で初版がいつかよく分からない」という旨を書きました。ただこれ、80年代以前の漫画出版界、中でもメジャーじゃない所ではそこまで珍しいものではなく、例えば80年代竹書房の近代麻雀コミックスなんかはこうです。 能條純一『哭きの竜』(竹書房)より 初版の日付も書けや!(「Printed in Japan 1986」とあるのと連載開始時期を考えると1986年の前半だと思うんですけど) 初版ならこれでもいいんですけど、ヘタにヒットした作品、例えば『フリテンくん』の1巻

    出版物はどんな自由に作ってもいいんだ(よくない)—コレクター泣かせな地獄からの使者・オハヨー出版のデタラメ単行本たち(志村裕次・原麻紀夫+鳴
  • 『ゴリラーマン』解題〜いかに『ゴリラーマン』は斬新なマンガであったか〜 | マンバ通信

    『ゴリラーマン』の時代 ヤンマガで『ゴリラーマン40』の連載が始まっている。それで久しぶりに『ゴリラーマン』を読み直してみたら、やはり面白かった……と思いつつ、あの時代の感覚を共有していないと、今の読者には伝わりづらいかもな、と思うところもあったので、『ゴリラーマン』を成立させていた時代背景みたいなものを書いてみたい。 『ゴリラーマン』は、とにかく絶妙なさじ加減のマンガだった。 ヤンキーマンガであるけど、ケンカがメインというよりは「かったるい学校生活を過ごす高校生」という感じのマンガで、青春マンガの要素もあるんだけど、「燃えさかる青春」ということでもなく、どことなくドライなところがあった。なおかつ、妙にオタクっぽいところもある。間口が狭いんだか広いんだか、よくわからないけど面白いという、他にないタイプのマンガだった。 (以下、カッコ書きしてあるのが作品としての『ゴリラーマン』、カッコ書きが

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  • 『三国志』を知りたい初心者にうってつけの歴史大河ギャグ—片山まさゆき『SWEET三国志』 | マンバ通信

    『SWEET三国志』 突然ですが、三大「男が好きなもの」といえばヘリコプター、F-1、そして三国志ですね。『ハトのおよめさん』のハトのダンナがそうだったから間違いない。 『ハトのおよめさん』8巻81ページより しかしこの三国志というもの、一般教養のごとく語る人もいる一方で、「実はあんまりよく知らない……」「興味はあるんだけどハードル高くて……」という人も少なくないだろうと思います。 まず、なんといっても長い。原作たる中国の『三国志演義』(注1:ここらへん当は色々面倒な話になるんですが、稿の主題とは直接関係ありませんので、注釈はまとめて一番下に置きます)は、黄巾の乱(184年)から、諸葛亮孔明(注2)の死(234年)、蜀の滅亡(263年)、呉の滅亡(280年)まで100年近い歴史を描く一大サーガであり、全120回という長い構成ですので、それを元にした小説漫画も大抵の場合長くなります。日

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  • 「浦沢直樹の漫勉」と諸星大二郎の「謎」【夏目房之介のマンガ与太話】 | - マンバ

    いやあ、まさか諸星大二郎先生が漫画を描いている瞬間を目にできることが今生であろうとは思わなんだ。 NHK「浦沢直樹の漫勉」*1という番組である。浦沢直樹が漫画家と、その執筆場面を5台の固定カメラで撮った映像を見ながら、毎回語りあう。浦沢は、漫画家の中では批評的で実践的な言葉を持つ作家*2で、作家ごとに重要なポイントを言葉で探り、対話で進めてゆくことができる。その手練は見事である。 また漫画家は、喋りが苦手で、うまく言葉を繰り出せない人も多い。漫画をよく知らない取材者に対して、時に見当違いな発言になったり、寡黙になってしまうのは、漫画の制作作業の内訳について双方が語りあえる言葉を持っていないからなのだ。 困ったことに漫画家は、一方でちょっとした違和感にも繊細に反応し、「何か違うな」と思うと、聞かれたことに過剰に否定的にふるまいがちだったりする。なので、発言がいつも隔掻痒な違和感に満ちたりも

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  • “ジャンル:翔丸”としか言えない漫画界の孤立峰—ハッタリ100%で構成された純・能條純一漫画『翔丸』 | マンバ通信

    『翔丸』 能條純一という漫画家がいます。71年にデビューし、70年代は主に成人向け劇画(当時は「三流劇画誌」などと呼ばれました。この頃は「農場純一」名義も使用)で活動するなど「女性を艶かしく描く漫画家」として認知されていましたが、85年に『別冊近代麻雀』(現・『近代麻雀』)で連載開始された麻雀漫画の金字塔『哭きの竜』で大ブレイク。 以後は『月下の棋士』『ゴッドハンド』『Dr.汞』など、カリスマ性を持った主人公を中心とした、男たちの物語を描くのが主となります。 2010年代以降は、現在連載中の『昭和天皇物語』など原作付き作品が多く、これはこれで普通に漫画力の高さが発揮されまくっている(伊集院静の同名小説をコミカライズした『いねむり先生』なんかは当に良作です)のですが、やはりこの人の真骨頂はカリスマ性を持った男たちを描いたオリジナル諸作にあり、中でも今回紹介する『翔丸』(『モーニング』87〜

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  • 共感必至!?『マイルノビッチ』のシンデレラストーリーがリアルすぎてたまらない | マンバ通信

    『マイルノビッチ』 今回紹介する『マイルノビッチ』は、2011年~2014年まで少女漫画雑誌『マーガレット』で連載されていた佐藤ざくり先生の代表作のひとつなのですが、連載終了から7年経った2021年になって実写ドラマ化されるなど、根強い人気の作品です。 2021年2月からHuluオリジナルドラマとして限定配信されている実写ドラマでは、桜井日奈子さんや神尾楓珠さんなど、旬の若手俳優・若手女優がキャスティングされ話題となっていますが、皆さん、原作漫画の方は既にチェック済みでしょうか? もちろん実写ドラマもとても気になりますが、少女漫画ソムリエの僕としてはドラマだけではなく是非原作漫画の方も多くの方に読んでいただきたいところです。 どんな漫画か簡潔に言いますと、「どブス」「毒キノコ」と呼ばれる地味でモテないヒロインが、とある事件(?)をきっかけに「綺麗になりたい」と決意し、それまで散々自分を馬鹿

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  • 職を失ったとき、俺はいつも松本零士『聖凡人伝』を読む | マンバ通信

    『聖凡人伝』 私事ですが、当方このたび、ここ2年くらいメイン収入にしていた職を辞して概ね無職になりました(2年ぶり7回目。まあ書き物の連載が僅かにあるので厳密には無職じゃないですが)。理由は、たぶん対人関係のストレスが原因と思われるうつ病です(「森久保々々もりくぼボボ」とか「3Pトライアドプリムス」とか文中に出てくる下劣なシンデレラガールズ二次創作を書いてるような人間でもうつ病になるときはなるんすよ、マジで)。いやー人間の3大欲求が完全にバカになってしまいまして、特に欲がヤバいことに。腹がなんか全然減らないし、何かべようと駅前に出ても何をべるか決められなくてそのまま帰ってしまったりするし、何をべても吐きそうになるので「べろ! 死ぬんだぞ!(バンバン)」と無理やり飲み込んだりしなきゃいかんしという生活をしてたら、運動もろくにしてないのに半年で体重が10kg以上減って、誰かと闘ってる

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