刺殺された石井紘基は、特殊法人による400兆円の債務が国民にのしかかり、官僚利権によってこの国は滅びると洞察していたのだけれど、彼の遺したオラクル(託宣)は着実に成就しているのだと思う。 くりかえし論述したとおり、1000兆円を超える国家債務の約50%は、国の外郭団体が起債した財政投融資債(郵貯・年金からの借金)であり、小泉政権における「改革」とは、特殊法人が独立行政法人へ移行するにともない、それらの債務を国債に置換し、つまり債務を「官」から「民」へ付け替える詐術であったわけだ。 これにより小泉政権のわずか3年の期間に国債が70%も増刷され、郵貯や年金の資産の多くが「現金」から「債券」に科目変更されたのであり、僅か60社余りの独立行政法人が資産売却もリストラもなく、年間20兆円ベースの財投債償還を可能とする原資は、このような隠蔽されたキャッシュフローによるものである。 過去10年間にわたり