古代エジプトの歴史は、栄光に満ちた都市テーベから現代のルクソールへと続く長い物語です。ナイル川中流に位置するこの地域は、中王国と新王国の時代にエジプトの首都として繁栄しました。古代エジプトではワセトと呼ばれ、ギリシア語ではテーベとして知られていたこの都市は、約千キロ南の上エジプトにありました。 新王国の時代、テーベはアメン神の守護のもと、カルナック神殿やルクソール神殿などの壮大な建造物が作られ、ファラオたちの墳墓「王家の谷」が近くにありました。アメンホテプ4世のアマルナ革命の失敗後、都は再びテーベに戻され、ラメセス2世の時代には人口百万人を超えるオリエント世界最大の都市となりました。しかし、アレクサンドロス大王がアレクサンドリアを建設したことで、テーベは衰退し、かつての栄華を伝える神殿のみが残されました。 プトレマイオス朝の最後の女王クレオパトラは、自らをイシス神の化身と考え、デンデラのハ