植物の長距離の移動は一般には稀であると考えられているが、National Geographic Newsの記事によれば、北極圏の植物が高い頻度で長距離を移動してきたという研究結果が出された(Science掲載論文)。北極圏のスヴァールバル諸島の9種の植物から採取した数千サンプルのDNAを分析した結果、風や海氷によると考えられる植物の長距離伝播がこの1万年の間に繰り返されていたという結論が得られたということだ。植物は予想以上に長距離移動できるということで、地球温暖化の状況でも植物は生息圏を移動することができるという主張で終わるのかと思ったが、記事の後半では、北極圏の植物が最終氷期以降少なくとも数千年かけてスヴァールバルに移動してきたのに対し、地球温暖化は100年単位の話であると、やはり温暖化の影響を懸念するコメントが掲載されている。