第4章 階層再生産の神話(盛山和夫) 一部ではよく知られている話ですが(そうでもないか?)、経済学者は個人間の格差を問題にするのに対して、社会学者はその昔から世代をまたぐ格差の再生産をこそ問題にしてきた、と言えます。この意味では、経済学者が結果の格差に注目する度合いが強いのに対して、社会学者はチャンスの格差(特に両親の階層による機会の不均等配分)に最初から注目してきたのです。 盛山先生の論文は、階層再生産論の問い、つまり「親の社会階層が子どもの社会階層に受け継がれる度合いは、強くなっているのか?」という問いに答えたものです。内容をまとめておきます。(やっと出てきた社会学者の論文なので、分量二倍増し。) 1955年から1995年までのデータ(SSM)で言えば、階層の再生産の度合い(閉鎖性)はほぼ単線的に弱まっている。 つまり、先の問いへの答えは明確に「No」である、ということです。 じゃあ例