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ブックマーク / jp.ign.com (49)

  • 『Apex Legends』の「能力主義」に対する批判――競技性の低いゲームがランク制度を採用するとき

    ここ1週間ほど『Apex Legends』をプレイしている。人として大切なものをはるか昔に忘れたパスファインダーで縦横無尽にマップを駆け巡り、1v3を仕掛けて勝てるのはシルバーまでで、とうとうゴールドからスタックするようになり、ともにプレイしている友人たちのねばり強い説得に折れて、ジブラルタルに転向した。のべ15時間ほどプレイしてプラチナまで上がったが、あとはグラインド――堅実なプレイを固持してRNG(ランダム生成)の神に供物を捧げる行為――を続ければ、マスターくらいまでは上がると思う。どうすればランクが上がるのかは、わかっているからだ。 このゲームの戦闘は、抜群に面白い。すべての武器の使用感が洗練されていて、それぞれに強みがあり、理想的な地形や交戦距離に武器の特性がぴたりとはまったときなどには、こたえがたい快感をもたらしてくれる。キルタイムの長さとキャラクタースプライトの移動の速さが、空

    『Apex Legends』の「能力主義」に対する批判――競技性の低いゲームがランク制度を採用するとき
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    yife 2022/01/04
  • 生粋ビデオゲーム主義者による信仰告白

    究極の質問――かりにあなたの手に、対人型のビデオゲームでチート行為を行った者をすべて消すボタンが握られているとしたら、あなたはそのボタンを押すか? こたえていわなければならない。私は押すだろう。 もうちょっと拡大しよう。そのボタンにチーターたちの個人情報のリストが付録として含まれていたとする。そこには心から尊敬できる人々、たとえば国境なき医師団のメンバーだとか、仕事育児に精魂を注いでいる勇敢な親たち、マリリン・マンソン、キング牧師、グッゲンハイム財団の会長などなどの名が連なっていた。どうか。答えは変わらない。私はボタンを押すだろう。 さらに推し進めよう。そのリストに私の家族、親友、私がこの世に生きる手がかりにしている人々が含まれていたならば、どうか。私はもうすこし考えるだろうが、結局は押すだろう(こうした事態が明らかになったとき魅力的な第二の選択肢は、私がビデオゲームをやめるというものだ

    生粋ビデオゲーム主義者による信仰告白
    yife
    yife 2020/05/25
  • 夏休み自由研究「ゲームレビュー」の書き方

    夏休みにゲームレビューを書こう! 弊誌コラム「ゲーマーよ、レビューを書こう」を読み、意欲を燃やす弊誌読者のために、筆者の執筆行程を紹介する。レビュー執筆のテンプレート、作業工程、ツールなど、実戦レベルのものを用意した。自由研究のネタに迷ったなら検討されたし。 その前に、レビュー以外でゲームを紹介する手法をいくつか挙げておく。カネになるかは別として、楽しくやれたほうが続きやすい。持ち前の特技や好みのゲームにあわせて手法を選んだほうがよいだろう。弊誌でも、ポッドキャストや二次創作小説など、幅広く取り扱っている。下図に主要な手法をまとめておいた。 画像素材:いらすとや 手法の区分「ニュース・ストーリー・インサイト」はWIRED誌の記事分類を参考にした。図の左側は即時性が高く反応を得やすい。右側は時間をかけて取り組める。ゲームの好みにあわせて活動するのも良案だ。新作ゲームを発売日当日に語りたいなら

    夏休み自由研究「ゲームレビュー」の書き方
    yife
    yife 2019/08/16
  • 中華娯楽週報 第52回:歴史的大ヒットを飛ばしている中国産SF大作『流浪地球』の真の魅力とは?中華文化ならではの特徴を大解説!(前編)

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。第50回と第51回は久しぶりに香港に焦点を置き、香港の大手ゲーム雑誌の元編集長と、東京大学大学院で日・香港のゲーマーコミュニティの比較文化研究に従事した「オタク研究者」として、香港ゲーム業界の現状を分析した。そして今週からは、久しぶりに映画の話題を取り上げる。2019年春節、つまり旧暦の元日に公開された中国SF大作『流浪地球(英題:The Wandering Earth)』は、未曾有の大ヒットを飛ばし、数々の記録を樹立している。しかし、『流浪地球』の当の核心を捉えた詳しい論評は、言語を問わずほとんど見られない。この第52回からは、作の文化質を解説し、大ブレイクの原因を分析する。 『流浪地球』は中国SF作家、劉慈

    中華娯楽週報 第52回:歴史的大ヒットを飛ばしている中国産SF大作『流浪地球』の真の魅力とは?中華文化ならではの特徴を大解説!(前編)
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    yife 2019/05/08
  • Steamで無料で遊べるおすすめゲーム10選

    現在もっとも盛り上がっていると言って差し支えないハック&スラッシュである『Path of Exile』。SteamのF2Pタイトルでこれをあげないわけにはいかない。多様なアイテムと広大なスキルツリーから生まれるビルドの自由度、アイテム交換システムによるゲーム内経済など濃い魅力が詰まっている。一定期間でリーグが切り替わり、新要素追加とバランス調整がなされた新しい『Path of Exile』が始まる。熟練プレーヤーもレベル1から再スタートするので、初心者でもはじめやすいという見方もできる。もちろん課金要素はあるが、アイテムを保管する倉庫の容量や見た目を変更するコスメティックアイテムがほとんどだ。お金をかけずとも遜色ないプレイが楽しめるので、興味のある方はぜひ試してみよう。――洋ナシ 『Dota 2』

    Steamで無料で遊べるおすすめゲーム10選
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    yife 2019/05/05
  • オルタナティブなインディーイベント――新しさと現状への危惧が合いまった「東京電脳特区」レポート&インタビュー

    「ヒトハチマルマル 定刻連絡。……定刻連絡終了、更ナル続報ヲマテ。」公式ツイッターは電報みたいな口調で、イベントの日にちまで宣伝を続けていた。2019年2月23日、インディーゲームイベント「東京電脳特区」が東京都渋谷区のクラブ「青山蜂」で開催された。今回はイベントのレポートと、出展作家たちのインタビューをお届けする。 東京電脳特区は主催者やスポンサーをつけず、インディーゲーム作家とゲームファンが完全主体のイベントだと表明している。運営はもちろん、宣伝イラストやグッズ、ツイッターもすべて出展作家が手掛ける。公式サイトには「このイベント会場となる"電脳特区"ではルールとして“会場内での試遊後にSNSでの情報拡散を設けています」と記され、来場者にイベントとビデオゲームをシェアしてもらい、魅力を広めてもらうスタンスを取っている。 初のイベントで、主催がいないにもかかわらず統一感があった。「もしも東

    オルタナティブなインディーイベント――新しさと現状への危惧が合いまった「東京電脳特区」レポート&インタビュー
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    yife 2019/02/27
  • 『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』によって考えさせられたストーリーテリングのあり方

    どのようなゲームが優れているか、ということについて考えることがある。映画のようにグラフィックが美しいゲーム小説のように物語や設定が濃厚なゲームなど様々な観点はあるが、私が当に良いと思うゲームは操作キャラとプレイヤーの主従関係をうまく扱えているものだ。少なくとも2019年のゲームにおいて、『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(以下、ACE7)よりもこの扱いに長けた作品は生まれないだろう。 そもそもビデオゲームというメディアがこれまで映画小説とは異なった媒体として存在できた理由の一つには、この操作キャラとプレイヤーの主従関係がある。つまりほとんどのゲームでは操作キャラが主体となり、キャラクターを操作することでプレイヤーは感情移入ができるように創られているし、知識や感性についても操作キャラはプレイヤーが理解できる範囲のみでしかそれらを表現することはできなかった。『ときめきメモリアル

    『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』によって考えさせられたストーリーテリングのあり方
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    yife 2019/02/10
  • ビデオゲームへの偏見とそれへの批判:東洋経済オンライン『スプラトゥーン』の「中毒性」ついて

    東洋経済オンラインに「『スプラトゥーン』の中毒性が極端に高い理由」という記事が掲載されている。このような記事は相手にしないほうがいいと言われるかもしれないが、ゲーマーでない人からあらぬ誤解を受ける可能性がある。ゆえに誰かが一度きちんと否定する必要があると考え、この原稿を書くことにした。 その記事では、任天堂が展開しているNintendo Switch向け対戦アクションゲームスプラトゥーン2』が「家族の絆をも壊すゲーム設計を採用している」と書かれている。毎日遊ばせたくなるような仕掛けがあり、中には「ギア」というガチャのようなシステムがあって、それのせいでやめられないのだ……、と。しかし、これは明らかに間違っている。いや、間違っているだけならまだマシで、問題は“読者の不安を煽るような記事”にしかなっていないところだ。 ゲームを正確に捉えられていないゲーマーとしての失望 『スプラトゥーン2』(

    ビデオゲームへの偏見とそれへの批判:東洋経済オンライン『スプラトゥーン』の「中毒性」ついて
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    yife 2019/02/05
  • 中華娯楽週報 第40回:“BL同人誌”で懲役10年!中国の性表現規制とLGBT事情(後編)

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。読者の皆様のおかげで、昨年1月にスタートしたコラムは年を跨いで、編第40回を迎えるときが来た。年末には過去の1年間の中華娯楽事情を総ざらいした大晦日の回に加え、中国の年越し番組で、政治や世相を反映する“世界最大”の国民的TV番組「春晩」を紹介する特別号を公開したが、その前の12月25日には中国土でアダルト向けのボーイズラブ(BL同人誌の関係者らが懲役10年の厳罰を言い渡された事件(作者のペンネームを冠して「天一同人事件」と呼ばれる)を取り上げ、中国および香港・台湾を含む中華圏の性表現規制について案内した。2019年の最初の回は、その後編として、中華圏のLGBT事情を紹介しておきたい。 BL同人誌への厳しい取り締まり

    中華娯楽週報 第40回:“BL同人誌”で懲役10年!中国の性表現規制とLGBT事情(後編)
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    yife 2019/01/08
  • 韓国・鉄拳の聖地GREEN ARCADE、21年の歴史に幕――独自レバーをも作り出した名物ゲーセンの尋常ならざる熱意 ゲーム - IGN Japan

    去る10月9日、「韓国・鉄拳の聖地」として有名だった、「グリーンゲームランド(以下、GREEN ARCADE)」が閉店を発表した。原因は運営者の高齢化により、経営の継続が不可能だと判断したため。このニュースは、GREEN ARCADEの公式代弁人とも言える、パク・ヒョンギュ(リングネーム:NIN)のSNSによって世界中に広まった。 あまりにも突然の悲報に全世界の鉄拳ファンが悲しむなか、筆者は話を伺いにGREEN ARCADEを訪れた。内部はすでに撤去作業が始まっており、かなり荒れている状態だったが、現場を見回るわずかな間にもかなりのユーザーが店長に感謝の挨拶をと店を訪問していた。発表後に訪問したユーザーの数は70人以上だと言う。 閉店作業の真っ只中のGREEN ARCADE内部風景。 ――閉店作業はかなり進んでいるようですね。 ユン・ギョンシク社長(以下、YUN):明日くらいには全部終わる

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    yife 2018/10/23
  • 中華娯楽週報 第19回:日本大好き中華オタクを怒らせる差別表現の境界とは?“ラノベ騒動”で見せた「底線」(前編)

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。3週間にわたる武侠小説の大特集(前編、中編、後編)の後、E3の頃からしばらくコラムをお休みしていたが、今回はE3の直前に発生したとある出来事をきっかけに、日に憧れている「中華宅(中華オタク)」が人種差別に対する姿勢と態度を検証したい。 日小説投稿サイト「小説家になろう」で2億近くのPVを獲得した、まいんによるライトノベル『二度目の人生を異世界で』は、5月下旬にテレビアニメ化が決定した。ところが、原作者まいんによる、中国韓国に対する差別発言で、6月上旬にはアニメの主要キャスト4人が相次いで降板し、ついにはアニメ化が中止。ホビージャパンによるラノベの書籍化およびKADOKAWA刊行の漫画版が先行しており、両方を合わせて

    中華娯楽週報 第19回:日本大好き中華オタクを怒らせる差別表現の境界とは?“ラノベ騒動”で見せた「底線」(前編)
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    yife 2018/07/24
  • ゲームばかりやっていると“格付け”が下がる!? 中華娯楽週報 第15回:中国の社会信用制度と「オーウェリアン主義」

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。前回は中華圏全体におけるACG(アニメ・コミック・ゲームオタクの活況や、誰でも簡単に「中華宅」になり得るという“明るい”現状を伝えたが、今回は逆にちょっと“暗い”話題を取り上げ、最近中国大陸を訪れた私の実体験を混ぜて語りたいと思う。 中国には「社会信用制度」という、クレジットカードの申込者や金融機関に対して行われるような全国民を格付けするシステムの存在を知っているだろうか? 中国では、みんな知っていながらもほとんど口にしないこの制度を、米誌『ニューズウィーク』が取り上げた。2014年に発案された社会信用制度では、国民の行動が監視され、「優良な市民」が様々な優遇に恵まれる一方、「悪しき者」は生活において制限をかけられ不便を経

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    yife 2018/05/15
  • 『東方Project』の人気キャラが新品種の花の正式名称に!中華娯楽週報 第14回:全中華の至る所で咲き乱れるACGオタクたち

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。中国語の面白いネットスラングを紹介した第11回と第12回、そしてユニークな「香港漫画」を取り上げた第13回の後、今週はあるホットな話題を切り口にして、中華宅(中華オタク)の活気あふれる現状を伝えたい。 昨年9月、草花栽培に係る生物工学を管轄する中国政府の機関が、サルスベリの新品種として「火焔」、「嬌籠」、「霊夢」、「眷恋」の4つを承認し、写真付きでプレスリリースを公開した。9月から10月にかけて、花や植物に特化したいくつかの中国メディア(例:緑色新聞網や中国石竹花網)に取り上げられた。花の名称はいずれも美しいものだが、それ自体は特に何の変哲もないニュースで、専門家以外の人が目にすることもなかった。 ところが、2018年4月1

    『東方Project』の人気キャラが新品種の花の正式名称に!中華娯楽週報 第14回:全中華の至る所で咲き乱れるACGオタクたち
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    yife 2018/04/30
  • 殺・必・死!中華娯楽週報 第11回:コレを使えればあなたも「中華宅」!楽しい中国語ネットスラング第1弾

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。先週の第10回では、あるゲームCMの炎上事件をきっかけに、中国の女性ゲーマーや彼女たちのアイデンティティを分析した。今週からは趣向を変えて、より軽めで、直感的に楽しめる内容をお届けする――中国語の面白いネットスラングを紹介して、中華圏のネット文化オタク文化、社会情勢や時代の流れについて楽しく学ぼう。 中国版ニコニコ動画とも言われるBilibili(嗶哩嗶哩、ビリビリ)の濃い弾幕をはじめ、中華圏のネット全体には無数のスラングが飛び交っている。それらのほとんどが、熱心なネットユーザーやオタク以外の中国(香港・台湾)人に意味を聞いても的を射た解答が得られないものであり、サブカルとしての中華圏のネット文化を如実に反映しているもので

    殺・必・死!中華娯楽週報 第11回:コレを使えればあなたも「中華宅」!楽しい中国語ネットスラング第1弾
  • 中華娯楽週報 第10回:ゲームCMが大炎上!中国の女性ゲーマーと誇り高き乙女たち

    こんにちは!「香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー」こと歐陽です。中国・香港・台湾を含む中華圏のゲーム映画、アニメなどの情報を発信し、社会事情を分析するコラム「中華娯楽週報」。第8回と先週の第9回は、いま流行りの「中国製日系ゲーム」から中華人民の自信の喪失と回復を詳しく検証した。10回目の節目を迎えた今回は、あるゲームCMの炎上をきっかけに、中国の女性ゲーマーと彼女たちの自己認識を分析する。 今年の春節(2月中旬)、中国で話題のモバイル向け乙女ゲーム『恋与制作人』(直訳:恋とプロデューサー)のインターネットCMが物議を醸した。その詳しい内容については後述するが、当事者からすると「乙女ゲームファンをバカにする」ようなものとなっている。絶大の人気を誇る『恋与制作人』だが、端末からアプリを削除してマイクロブログ新浪微博(ウェイボー)などのSNSで報告するユーザーが続出するなど、大きな騒ぎへと発展した。最

    中華娯楽週報 第10回:ゲームCMが大炎上!中国の女性ゲーマーと誇り高き乙女たち
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    yife 2018/04/03
  • 【電遊奇譚:其三十】一九九六年五月十四日

    IGN Japan is operated under license by Sankei Digital Inc./IGN Japanはライセンスを受けて(株)産経デジタルが運営しています 濹東綺譚はここに筆を擱くべきであろう。然しながら若しここに古風な小説的結末をつけようと欲するならば、半年或は一年の後、わたくしが偶然思いがけない処で、既に素人になっているお雪に廻逢う一節を書添えればよいであろう。猶又、この偶然の邂逅をして更に感傷的ならしめようと思ったなら、摺れちがう自動車とか或は列車の窓から、互に顔を見合しながら、言葉を交したいにも交すことの出来ない場面を設ければよいであろう。楓葉荻花か秋は瑟々たる刀禰河あたりの渡船で摺れちがう処などは、殊に妙であろう。 ――永井荷風『濹東綺譚』 これは私が物書きになった経緯の素描である。 とにかく他人になじまない子供だった。幼稚園の「お遊戯会」を断

    【電遊奇譚:其三十】一九九六年五月十四日
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    yife 2017/12/17
  • 日本人を装っていたマーベル・コミックの新編集長が物議、本人が声明を発表

    今月中旬、マーベル・コミックはアクセル・アロンソに代わる新しい編集長として、副社長のC.B.セブルスキーを指名した。ところが、この判断は大きな議論を巻き起こしている。セブルスキーは、過去の一時期(2004年~2005年)において「Akira Yoshida(吉田晶)」という日人っぽいペンネームを使用し、その人物のバックグラウンドまで創り上げて日人を騙っていたのだ。日漫画風の作品を創作していたAkira Yoshidaが白人だったという事実を受け、アメコミ界に激震が走っている。 まずはセブルスキー人がIGNに対して発表した声明を見てみよう(声明の内容は、こちらの英語記事を参照している)。 私は偽名であるAkira Yoshidaの使用を約1年でやめました。分かりにくいことでしたが、この名前の元で私は創作やコミュニケーション、プレッシャーについて様々なことを学びました。未熟で、まだ色

    日本人を装っていたマーベル・コミックの新編集長が物議、本人が声明を発表
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    yife 2017/11/30
  • 個性的で普遍的な魅力を持ったサイバーパンクアドベンチャー「VA-11 Hall-A」レビュー

    フランスの批評家ロラン・バルトの有名な箴言に「人はつねに愛するものについて語りそこなう」というものがある。これは文学や映画音楽に当てはまるだけではなく、当然、ビデオゲームにも当てはまるだろう。作「VA-11 Hall-A」のインタビューやプレビューなどを私は既に数多く書いているが、それらの中で作への愛を隠していない。そのため今回のレビューはどちらかと言えば、気乗りしないものだ。自分の好きな作品をより多くの人に伝えたいという気持ちが強い反面、恋は盲目となり、筋違いの評価を他人にも押し付けてしまうからだ。 とはいえ、今回、レビューにあたってPC版でプレイし直したが、良くも悪くも作の個性を改めて思い知った。苦しい作業とはいえ、ある種のオトシマエとしてこのタイミングとしてレビューを書くのは悪くはない。過去を精算して未来に歩み出すのが、作のひとつのテーマである以上、発売前から(勝手に)熱狂

    個性的で普遍的な魅力を持ったサイバーパンクアドベンチャー「VA-11 Hall-A」レビュー
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    yife 2017/11/27
  • 「どうぶつの森 ポケットキャンプ」は、シリーズの魅力である“スローライフ”を“労働”に変えた

    そしてこの言葉は、単純に遊びとしてゲームを遊ぶわれわれにも関係してくる。そう、成果や結果が欲しいと思わされてしまった時点で、そのゲームは“労働”になるのだ。「どうぶつの森 ポケットキャンプ」(以下「ポケ森」と表記)はそのことを改めて教えてくれた。 「どうぶつの森」シリーズは、どうぶつたちとのコミュニケーションとスローライフを楽しむゲームである。プレイヤーは自然豊かな村へ引っ越し、花を愛でてもよいし、お金を稼いでもよいし、家を好きなように飾ってもよいし、どうぶつたちと仲良くしてもよい。好きなことをして嫌いなことは無視し、のんびりと楽しめるという珍しいゲームである。 しかし、2017年11月22日よりスマートフォン向けにリリースされた「ポケ森」は毛色が違う。基プレイ無料タイトルということでシステムが変わり、ゲーム内容にも影響があった。無論、ガチャを回しまくるというわけでもないし、マルチプレイ

    「どうぶつの森 ポケットキャンプ」は、シリーズの魅力である“スローライフ”を“労働”に変えた
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    yife 2017/11/27
  • 「VA-11 Hall-A」は、南米文学史に加えられるべき傑作である

    (ヴァルキューレたちは)戦死者たちの魂を集めて、それをオーディンの雄大なる楽園へと運んでいく。天井が黄金でできていて、たいまつではなく抜き放たれた剣の数々に照り映えるそこの「戦死者の大広間」、ヴァルハラで、戦士たちは夜明けから日暮れまで戦った。そのなかで斃れてしまった者たちもふたたび生き返り、そこで一同は神の宴を共にし、不死の猪の肉や角の盃に盛った尽きない蜂蜜酒をふるまわれた。 ――J.L.ボルヘス、M.ゲレロ著『幻獣辞典』、項目「ヴァルキューレ」より ゲームのなかに展開される虚構世界は、いつもヴァルハラめいている。RPGでも、FPSでも、STGでも、私たちはあらゆる魂をはじめからやりなおし、あらたな戦いに向かうことができる。先日、日語版がリリースされた名作「VA-11 Hall-A」も、この類型の例外ではない。しかしその手段は、こんにちのビデオゲームにおいて、もっとも先進的なものだ。

    「VA-11 Hall-A」は、南米文学史に加えられるべき傑作である
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    yife 2017/11/27