生物多様性条約(以下、CBD)の目的は3つあります。 (1)地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること (2)生物資源を持続可能であるように利用すること (3)遺伝資源の利用から生ずる利益を公平【1】かつ衡平に配分すること (条約 第1条) それぞれ保全、持続可能な利用、利益配分に関わる目的であり、3番目の「公平かつ衡平に」とは、“えこひいきせず、かつバランスよく配分する”といったほどの意味です。 この第3の目的は、「(遺伝資源への)アクセスと利益配分」を意味する英語(Access and Benefit-Sharing)の頭文字を取って、『ABS(エービーエス)』と呼ばれます。 「利益」というと、企業が上げる収入から経費を差し引いた利潤としての“もうけ”が思い浮かぶかもしれませんが、ここでいう「利益」は、技術の移転や知識の共有なども含んだ広い概念(便益=Benefit)として用