服が好きだ。着道楽と言ってもいいかもしれない。物心ついたときから好きかというとそうでもないけれど、幼いころに母が用意した服で気に食わないものがあると黙って着ていたけど内心いつか大人になったら好きな服だけ着てやると思っていたし、大学生になってからはバイトで稼いだお金は舞台鑑賞と服で消えていた。働き始めてからはいっそう顕著になって、ほとんど洋服代に消えているかもしれない。 思い出に残る服のこと。 憎んでいた服。 小学校高学年で着せられたバブルガムみたいなピンクのトレーナーにネオンの黄色や緑で文字が書いてあった。当時からシックなものが好きだった。あまりに品がなく、子供っぽすぎると思っていた。11歳なのに。 憎んでいた服その2。 オレンジ色のトレーナー。アリスに出てくるトランプのようなパッチワークが施されていて、たぶん高級品だった。だけど私はそのときオレンジ色が嫌いだった。今は大好きなのに。なので