ロマンティック・バレエが成立したのは、フランス革命後の最も不安定な時代でした。テーマは、当時のロマン主義文学と深いかかわりを持ち、物語の舞台は異界や異国といった場所が設定されました。特に、幻想的な異界の場面では妖精が杜役となり、神秘的なイメージをより印象付けるため、ロマンティック・チュチュと呼ばれる釣鐘型のふわふわとした衣装が考案されて、つま先による踊りが発達しました。 バレリーナの中でも、特に人気を二分した二人のスターがいました。麦畑を一本の麦も折らずに歩けたとまで謳われた天上的な魅力のマリー・タリオーニと情熱的で地上的な踊りで男性ファンを魅了したファニー・エルスラーです。 本展では、この二人のバレリーナを中心に、当時人気のあった演目ごとに版画、スターの手紙、楽譜等をご覧いただくことによって、時代背景を含めたバレエの成り立ちを確認し、ロマンティック・バレエという夢の世界をお楽しみいた