バーネット・ニューマンは、第二次世界大戦後のアメリカで勃興した抽象表現主義を代表する画家です。一色に塗られた大画面に、「ジップ」と呼ばれる垂直の線を配した色面としての絵画をつくり、マーク・ロスコと共にカラー・フィールド・ペインティングの様式を築き上げました。本作は、ニューマンが63才の時に手がけた作品です。制作の3年前に亡くなったニューマンの母の名にちなんで《アンナの光》と名付けられました。ニューマンが制作した絵画の中で最大のサイズを誇り、色の強度や輝度の点でも、これに勝る作品は他にありません。高さ2.8m、横幅6.1mという桁外れに大きな画面は赤い絵具で被われており、最初はローラーで、次いで刷毛で、幾層かに塗り重ねられています。画面は何か特定のものが描かれているわけではありませんが、充実した色で満たされ、その強烈な赤の色彩は鑑賞者の視界を瞬時に被うほどです。ところで、ニューマンは自作につ