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ブックマーク / el.jibun.atmarkit.co.jp (6)

  • 高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (4):Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 またもや深夜の電話だった。 「消えた?」私は訊き返した。「会員データが?」 『そうなんです』桐野の声は、音声解析ソフトの心理分析グラフを見なくてもわかるぐらい動揺していた。『三村さんからのメールを見て、訴えのあった女性会員のプロフィールを確認しようとしたら、全部消えていたんです』 「他の会員のデータは?」 『それは残っているんです。訴えをされている男性会員のデータも全部あります。ただ、その方たちに紹介した女性会員のデータだけが、きれいに消えてしまっているんです』 どういうことだろう。 「1つ確認したいんですが、会員データは全部クラウド上に置いてあるんですか?」 『……どういうことですか?』 「えーとですね、つまり、自社のどこかにサーバルームか何かがあったりしますか?」 『そういう

    高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (4):Press Enter■:エンジニアライフ
  • 高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (3):Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 13時ちょうど。ユカリは、横浜みなとみらいのランドマークタワーにあるスターバックスにいた。向かいに座っているのは、どうみても標準より20キロほどオーバーしている体重を持つ46才の独身男性で、ルックスはお世辞にもいいとは言えない。職業はいわゆるシステムエンジニア。桐野から送られてきた3人の1人だ。私はこの男に、ブーチ氏という変数名をつけることにした。 待ち合わせ場所が横浜になったのは、ブーチ氏の職場がすぐ近くであるためだ。この業界では珍しくもなんともないことだが、今日も出勤してコードと格闘していたらしい。見知らぬ人間からの突然の呼び出しにも、嫌な顔ひとつせずに快く応じてくれるとは、いい人なのだろう。もっとも、わざわざ仕事を抜け出してきてくれたのは、待ち合わせ用にと、ユカリが送った写

    高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (3):Press Enter■:エンジニアライフ
  • 高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (2):Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 判明したメールアドレスは、プライベートとビジネスの両方で使用しているらしいGmailアカウントだった。私は早速、契約書その他をまとめて送信しておいた。 入手した何枚かの顔写真には、フレームレスメガネをかけた、実直そうな痩せ顔の中年男性が写っていた。経歴によると、大手百貨店で事務をずっとやってきたが、近年の業績不振によって早期退職を強要され、1年ほどの求職期間を経て、<シルバースプーン>設立と同時に事務担当社員として採用されたらしい。 <シルバースプーン>のサイトを見てみると、おそらく専門のデザイン会社に作成を依頼したらしく、きれいだが個性のない白と淡いピンクを基調にしたページが開いた。この手のサイトは、だいたいテンプレートを元に作るので、安価ではあるが、その分どうしても似たデザイ

    高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (2):Press Enter■:エンジニアライフ
  • 高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (1):Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 真夜中にかかってくる電話が、いい知らせであったためしがない。そもそも小指の先ほどでも常識を所有しているヤツなら、よほどのことがない限り、日付が変わった直後に他人に電話をかけるという選択はしない。 不幸にして、真夜中過ぎに私に電話してくるヤツは、たいていがよほどの事情を抱えている。私はコーディング中のScalaのソースから目を離して、しつこく振動している電話に手を伸ばしかけ、それが7つ所有している電話の中で、唯一のブラックベリーであることに気付いた。この電話の、定期的に変更している番号を知っている人間は、この地上に数人しかいないはずだった。ということは、特殊事情の件だ。 私はその電話をつかむと、常に接続してあるヘッドセットを装着した。ボイスチェンジャーの作動を示すパイロットランプ

    高村ミスズ女史の事件簿 結婚詐欺篇 (1):Press Enter■:エンジニアライフ
  • 鼠と竜のゲーム(1) 家宅捜索:Press Enter■:エンジニアライフ

    ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。 あなたはもう結末を知っている――T市立図書館システムにまつわる拙速な逮捕劇、そしてクロラ氏が最終的に名誉を回復したいきさつを。だが、あなたは発端――この事件の遠因となった1人の男の不可解な暗躍の理由を知らない。それは、彼が棲息する企業が、企業倫理を軽視し、技術よりも利益を追求した結果によるものだ。ましてその裏話――あるベンチャー企業の生き残りを賭けた物語となれば、なおさら知りようもない。 倉敷タカシにとって、5月25日の朝が普段と異なると考える理由は何ひとつなかった。いつもの平日のように、午前7時ジャストに鳴り響いた目覚まし時計の電子音で目覚めたタカシは、5分ほどまどろんだ後、いさぎよくベッドから起き出した。 手早く洗顔をすませると、玄関先のポストに新聞を取りに行く。もうすぐ6月

    鼠と竜のゲーム(1) 家宅捜索:Press Enter■:エンジニアライフ
  • Press Enter■:エンジニアライフ

    その夜、日付が変わる直前、ぼくはコメントを追記した。/*返事を待ってますm.h*/きっと君は来ない。翌朝、そんな気分でソースを開いたぼくは、e.kさんの返事が書き込まれていることを発見して小躍りしたく...

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