立たねえ。タマねえ。そんな僕の体の欠陥が大きなハンデとなり、厳しい戦いに終始した二年間の妊活が長い話し合いの末終わってからちょうど一年になる。僕は41才。いつの間にかオッサン狩りの獲物となり周りからは老害扱いされはじめているけど、まだまだ若いつもりでいるので、これからの数十年の人生を子供なしで生きていくと考えると少し寂しい気持ちになる。 妻はもっとそうに違いない。妻は決めたときから子供について何も言わない。友人の出産祝いを買いにいくときなどは絶対に思うところがあるはずなのにだ。僕を思いやっての無言なんだろう。でも僕は責めて欲しかった。はっきりとタマなし野郎と責めてくれたほうがいくらか気分が楽だった。 潔く決めたはずだけれど、僕らの決定が正しかったのか間違っていたのか今はまだわからない。正しかったなんて胸を張るつもりはない。人生を終えるときに間違っていなかったと思えればそれでいい。これからの