筆者に与えられたテーマは「憲法9条と安全保障」であり、「憲法9条とはどのような条文なのか、日本の安全保障にとってどのような意味をもつのか」をその内容として、執筆の依頼を受けた。 昨年(平成24年)春に自民党の「日本国憲法改正草案」(以下、自民党「改正草案」)が公にされ、同年12月の衆議院議員総選挙、そして本年7月の参議院議員通常選挙において改正に意欲を示している自民党が勝利したことで、憲法改正論議へ国民から一定の関心が寄せられる状況となっている。 しかし、憲法96条の手続きによる憲法改正という方途とは別に、時を同じくして静かに進行している安全保障政策の改変・転換は、さほど高い関心を呼んでいない。 確かに、私たちは日々の生活に忙しい。消費税増税など日々の生活に直結する問題と比べて、安保問題は生活に直結するような「リアルさ」がない、といえるのかもしれない。 しかしながら、個々具体的な安保政策の
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