勤務している会社の一室に、あやしい光を放つ機械が登場した。 指紋認証セキュリティだ。 急いでいる時にかぎって、私の焦りを見透かしたようになかなか認証してくれない。 今日もおかげで遅刻した。 くやしいので、指紋認証、略して指認(しにん)をだまくらかしてやりたいと思う。 指認と戦った日々をごらんください。 (text by 土屋 遊) 戦略をたてる イヤたてない。 指紋認証の原理を調べるのは、今の時代、カンタンなことだ。だが私はあえて、デジタルで最先端な物体に真っ向勝負を挑むつもりだ。 私の脳ミソひとかたまりという、アナログな勝負だ。