「池袋は埼玉の属国のようなもの」と、南国育ち横浜在住の友人、ボブ桜井が言った。 ばかやろうとおれは返す。 こんな街いらないし。そもそも埼玉に池袋を支配できるほどの力があるのかよ。 「マア、ボクら東横線住民には、関係のナイ話だけドね、ハ、ハ、ハ」 そう笑いながら見せる真っ白な歯を、粉々に砕いてやろうかと思った。 「コンナ埼玉だか東京だかわからない街とは違ってサ、ボクの東横線は…」 話を続けながら池梟の像をぽんぽんと叩く。 ボブ桜井よ、それはおれじゃない。渋谷で言うところのハチ公とかモアイのやつにあたる待ち合わせスポットだ。なぜか狭い屋内にあるので待ち合わせ場所としてはどうかなどの疑問が… 「そうそう渋谷けーゆで、東横線で」 聞けよ。寒い冬だった。 「ボーントゥビィーワーアアアーアー」 ボブ桜井のケータイがピカピカ光りながら叫ぶ。 「ハイ、ボブサクライぃ」高校の頃に流行ったテレビドラマの主人公