電力市場の自由化を検討している経済産業省の有識者会議の報告書は、発電事業と送電事業を分ける「発送電分離」を促し、電力会社の地域独占からの脱却を求めた。発送電分離によって発電事業の競争を促し、低料金で安定的な電力を供給することが狙いだ。ただ、すでに自由化を進めた国では必ずしも低料金化や安定供給にはつながっておらず、新たな仕組みづくりには課題が残されている。 有識者会議が発送電分離を促したのは、電気料金の引き下げにつながるとの期待があるからだ。電力会社から送電網を切り離し、誰でも公平に使えるようにすれば、新規事業者も電力会社と対等の条件で発電事業で競争できる。 これに対して、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は「電力の安定供給を長期的に果たすためには発送電の一貫体制が必要」との立場だ。 日本は欧米に比べ、季節や時間帯で電力需要変動が起きやすい。このため、電力各社は、発送電分離で多種多様