「明治日本の産業革命遺産」を世界遺産に登録する審査が先送りされたのは、韓国が求める戦時中の朝鮮半島出身者の徴用問題に関する意見陳述をめぐり、日韓両政府の調整が難航しているためで、「安倍晋三首相肝いり」(政府関係者)の遺産登録決定は最終局面までもつれた。 「われわれには思うことをすべて言う権利がある。日本は約束をしておきながら今更なんだ」。ユネスコ世界遺産委の審査が始まる前日の二日、ドイツ・ボンの会場で、登録の交渉代表を務める韓国外務省の崔鍾文(チェジョンムン)ユネスコ協力代表はいら立ちを隠さなかった。