デジタルがもたらした功績のうち、もっとも大きな要素のひとつが、同じものを複数持てることが保証されている点だった。つまり、コピーしても劣化しないこと。それがデジタルの素晴らしさだ。 ●CD-ROMが広大な空間だった時代 昔、まだ、CD-ROMタイトルが、マルチメディアソフトなどと呼ばれていたころのことだ。本当に欲しいと思ったタイトルがひとつあった。平凡社の「世界大百科事典」をCD-ROM化したもので、当時、実に、10万円を超える価格が設定されていた。仕事の役に立つものなので、10万円を支払うことについては特に躊躇することはなかった。 CD-ROM 1枚に対してついた10万円という価格は、それをモノとして考えたときには実に高価に感じる。でも、問題はコンテンツの内容だ。しかも、書籍としての百科事典はさらに高価だったし、それを並べて収納するスペースもない。 ぼくは、そのタイトルの購入検討にあたって