宮崎県都農町で口蹄疫(こうていえき)に感染した牛が4月20日に発見されてから約1カ月。5月17日に政府は鳩山由紀夫首相を本部長とする口蹄疫対策本部を発足させた。翌18日は、宮崎県の東国原英夫知事が県として非常事態を宣言。収束の気配が見えない口蹄病の猛威に、地元関係者は、怯え、疲弊し切っている。悲劇はなぜ引き起こされたのか。 (日経ビジネス 篠原匡、蛯谷敏) この光景は一体何なのだろうか。 がらんどうの牛舎。床一面には雪のように消石灰が積もっている。普段、乳牛がつながれている一角を見ても、生き物の気配はまるでなく、辺りは静寂に包まれているかのよう。柱に据えつけられた大型ブラシ、送風機も白い灰にまみれている。 牛舎の外側に広がる光景も異様の一語だ。周囲の青田とコントラストをなすように敷地内の草花は白く染まっている。トラクターなどの農業機械も白一色。すべて消毒のためである。消石灰の影響だろうか。
コンビニエンスストアがわずかな間に日本全国に広がった理由について、少し前にこんな話を聞いたことある。曰く、「○×屋さん」と呼ばれていたお店の機能をコンビニは片っ端から取り込んできたからだと。 弁当屋、パン屋、雑貨屋、文房具屋、本屋、八百屋、果物屋、酒屋そしてたばこ屋。こうしたお店が扱ってきた商品のほとんどは、今やコンビニで買えるようになった。いや、むしろコンビニで買う方が圧倒的に多くなったのではないか。その証拠に、○×屋という業態の店舗は、一部を除き街中から根こそぎ取り除かれてしまった。 ヤフーとアリババ、楽天とバイドゥ 何も愛執の念で言っているのではない。消費者に受け入れてもらわなければ、どんな商店も生き残ることはできない。現代の消費者が必要としている商品を豊富に取りそろえ、しかも24時間営業だから欲しい時にいつでも買える。たからこそコンビニは繁栄した。銀行や郵便局の機能まで取り入れたコ
「あの人、今日何色を着てくるかな」 私は一般企業に勤務しているのだが、仕事関係者でいつも真っ白なワンピースや、鮮やかな青のスーツなどを着て、その服装の奇抜さが話題になる女性がいる。ある日、彼女が深紅のワンピースを着て会議に現れた。出席者は度肝を抜かれ、会議はすべて彼女のペースで進められてしまった、ということがあった。 その帰りに、出席者の1人がぽつりと言った。 「赤のパワーに押されちゃったね」 私たちが毎日当たり前のように身につけ、身の回りに溢れている色に、人に威圧感を与えるような力があるのだろうか。 そんな疑問を持った時に手を伸ばしたのが、色の持つ、知られざる様々な力について説明した、野村順一『色の秘密』だ。 黒は白より2倍重い 著者は、建築やインテリア、アパレル、食品などの各業界でカラーコーディネートの指導をした経験を持つ商学博士だ(2004年没)。『カラーマーケティング論』や『誕生色
大西洋クロマグロの国際取引を禁止する案がワシントン条約で否決された。食文化の違いでもある鯨とは違い、マグロ問題の背景にはビジネス構造がある。もともとは日本の食を守るため確立された蓄養が、マグロの乱獲を招いた。 築地市場にも近い東京港・大井埠頭。4月下旬、この埠頭に地中海の“生け簀”で育った大西洋クロマグロを積んだ船が接岸した。マイナス60度の超低温で凍らせたマグロが船から保冷車に移され、商社や水産会社の冷凍倉庫に運ばれていく。大西洋クロマグロが日本に輸入されるのは3~4月がピーク。倉庫に搬入された大量の冷凍マグロは向こう1年間、日本の食卓への安定供給を約束してくれる。 3月にカタール・ドーハで開かれた野生生物の国際取引を規制するワシントン条約締約国会議で、大西洋クロマグロを「付属書?(禁輸)」にする案が否決されたのは記憶に新しい。資源枯渇を理由に禁輸案に賛成する欧州連合(EU)と米国に対し
労働者派遣法改正案の影響で、女性の派遣社員が少しずつ「派遣切り」に遭っている。一方、改正貸金業法に伴い、消費者金融やカード会社は専業主婦向け融資を縮小する。理念なき改革の果てに、支持基盤の1つであった女性たちの民主党離れがじわり進む。 「これでは派遣法“改正”ではなく“改悪”ですよ」。2000年から派遣社員として働いてきた、シングルマザーの女性(51歳)は沈痛な面持ちで語る。 離婚後、派遣社員として事務系の仕事を続けていたが、最近は「仕事を干されてしまい、専門性の高い仕事は何もしていない」。20代後半のワーキングプアの子供を2人抱え、家族の大黒柱として家計を支えているだけに、「今回の派遣法改正で『派遣切り』の対象になるかもしれない。今の職場を失ったら、どう生計を立てていけばいいのか」と不安な日々を過ごしている。 労働者派遣法改正案の国会審議が進む陰で、今、新たな「派遣切り」が静かに進行して
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