「背中を押した」。同級生の告白を契機に事故は一転、事件の様相となった。若い命がなぜ失われたのか、警視庁の捜査が進む。 東京都大田区の多摩川で昨年7月、当時日体荏原高1年の男子生徒2人が水死した。2人はサッカー部の練習後、同級生らと計8人で現場の川を訪れていた。 亡くなった1人は、村沢卓也さん=当時(16)。幼いころの体験から水を怖がっており、川に入ることをためらっていたが、他の生徒に背中を押され水中に落ちた。泳げないことを真剣に訴えたが、聞き入れられることはなかった。 「ぼ、ぼ、僕マジなんです」。こう叫んだのが最期だったという。 事故として、心の整理をつけようとしていた遺族に突きつけられた「新事実」。精神的ダメージの深さは想像にかたくない。 小学生でサッカーを始めた村沢さんは、中学でゴールキーパーとして活躍。能力を認められ、同校に推薦入学した。「サッカー選手になってほしい」。家族の期待に「