店を出ると、寒空には月が浮かんでいた。 ちょっとだけ、洋服のバーゲンを覗いてみるつもりが、もうこんな時間に。 彼氏を誘ったが、どうやら荷物持ちになることをやっと学習したようで連れ出せなかった。 次に誘う時には、もう少し良さげな餌を撒く必要がありそうね。 白い息を吐きながら、駅から自宅までの帰り道。 住宅街を進んでいると灯りが途切れ、暗闇があらわれた。 ぽっかりとした空き地があるのだ。 普段は立ち入らない、その足元の悪い空き地を今日は通り抜けることにした。 一日中動き回った上に、寒さからなのか足の感覚が鈍くなってきていた。 足早に。もうすぐで空き地を抜け出すというところで、突然強い風が吹きつけてきた。 「いたいっ」 目にゴミが入ってしまった。 なんとかして取り除きたいのに、両手は紙袋でふさがっている。 どうしたものかと。 体をかたむけて片手に荷物を預け、空いた手を使って、まぶたのふちを指でな