“Jリーグ史上最強チーム”のニューフェイス 「サッカーですか? 何度もやめようと思いましたよ。自分が不甲斐なくて。どうすればいいのか分からない、この2~3年はずっとそんな調子でした」 青年はハンドルを握ったままで言った。博多の夜、雨がアスファルトを濡らし、ところどころに水たまりを作っていた。タイヤが水飛沫を上げ、地面を滑る。信号で停まった車のワイパーは、機械的な振動を繰り返していた。 2011年1月、26歳になる彼は、8シーズンを過ごしたジュビロ磐田を去り、アビスパ福岡への移籍を決断した。磐田からは契約更新の打診を受けていたが、年俸をいくらかダウンさせたとしても、心の中にかかったもやを振り払いたかった。 「住む場所を変えたからと言って、何かが変わるとは思っていないですよ。でも、何かを変える必要があったんです。サッカーが好きなのに、このままで終わってたまるか、と思ったんです」 正面を見据えて