「懲役5年」。2020年3月25日、東京地方裁判所が斉藤元章被告に実刑判決を言い渡した。同被告は、スーパーコンピューター(スパコン)向けプロセッサーを開発するPEZY Computing(ペジーコンピューティング、本社・千代田)の創業者であり、「天才」とも称された元社長だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助成金の詐取や法人税法違反(脱税)の罪で懲役刑を受けた。だが、この事件を「個人の詐欺事件と解釈してはならない。日本にテックカンパニーを育成する健全な環境をつくるために生かすべきだ」と警鐘を鳴らすのが、メディアスケッチ(東京・千代田)最高技術責任者(CTO)の江崎寛康氏だ。この事件をどう解釈すべきか。同氏に聞いた、その前編。(聞き手は近岡 裕)。 PEZY Computing(以下、ペジー)の元社長による助成金詐欺事件をどう見ますか。 江崎氏:カリスマ社長ともてはやされた