来春から使用される高校教科書について、東京都教育委員会(都教委)が実教出版(東京)の日本史教科書の記述に問題があるとして「使用は適切でない」とする通知を出した。学校が希望しても8月の採択で「不採択」にすることもあり得るとしている。 異例な判断だが、適切な教科書を生徒に渡すための正しい採択権の行使といえる。一部から「教育への介入」「二重検定」などの批判もあるが、いずれもあたらない。都教委の姿勢を他の道府県教委も見習ってほしい。 問題になっているのは、検定合格した同社の1、2年生用の「高校日本史A」と「高校日本史B」の2冊だ。卒業式や入学式の国旗掲揚、国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述していた。 名指しこそしていないが、東京都や大阪府などで行われてきた正常化に向けた指導を指すのは明らかで、批判的な意味合いが込められている。学習指導要領は国旗や国歌について、教師の